大阪が世界に誇るバリアフリー先進都市である訳 ハード面でもハート面でも体現するDE&I
さまざまなバックボーンを持つ人々を受け入れてきた歴史、個性の強さやユニークさをよしとする気質。多彩な要素が、障害者に対して壁をつくらない、大阪における風土醸成に寄与しているようです。
大阪のダイバーシティは、身近なところにもあふれています。車いすを使用する私が客引きされたのは、これまでの人生で数えるほどです。そのうちの一回が関西屈指のコリアンタウン・鶴橋でのことでした。満面の笑顔で私に近寄ってきた焼肉店のお兄さんが、「1階のテーブル席が空いていますよ!」と声をかけてくれたのです。2階席でもカウンターでもなく、「1階のテーブル席」。
利用者の視点に立った想像力と的確な情報提供に、思わず握手をしてしまうくらい感動しました。誰に言われたのでもなく、車いすユーザーへの「合理的配慮」が見事になされています。そこにあるのは慈悲の心でも社会貢献の精神でもなく、自慢の焼肉を一人でも多くの客に食べてほしいという思い、より率直に言うなら、たくましい商魂でしょう。これこそが、私が多くの方に持っていただきたい視点です。
ビジネスチャンスとしてのDE&I
2024年の4月から施行された改正障害者差別解消法の下では、合理的配慮を提供しない企業は罰せられる可能性があります。そこまで行かずとも、企業としての評判(レピュテーション)を毀損することは避けられません。これほどDE&Iが言われる中にあって、取り組みが不十分な企業は、好感と信頼を得るのが難しいからです。そうなれば顧客や取引先、投資家、そして、社員が離れていくことも十分に予想されます。
しかし、真に注目すべきは、そうしたマイナスの面ではなくプラスの面、企業として成長するチャンスを自ら放棄してしまうことです。
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