大阪が世界に誇るバリアフリー先進都市である訳 ハード面でもハート面でも体現するDE&I

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さまざまなバックボーンを持つ人々を受け入れてきた歴史、個性の強さやユニークさをよしとする気質。多彩な要素が、障害者に対して壁をつくらない、大阪における風土醸成に寄与しているようです。

大阪のダイバーシティは、身近なところにもあふれています。車いすを使用する私が客引きされたのは、これまでの人生で数えるほどです。そのうちの一回が関西屈指のコリアンタウン・鶴橋でのことでした。満面の笑顔で私に近寄ってきた焼肉店のお兄さんが、「1階のテーブル席が空いていますよ!」と声をかけてくれたのです。2階席でもカウンターでもなく、「1階のテーブル席」。

利用者の視点に立った想像力と的確な情報提供に、思わず握手をしてしまうくらい感動しました。誰に言われたのでもなく、車いすユーザーへの「合理的配慮」が見事になされています。そこにあるのは慈悲の心でも社会貢献の精神でもなく、自慢の焼肉を一人でも多くの客に食べてほしいという思い、より率直に言うなら、たくましい商魂でしょう。これこそが、私が多くの方に持っていただきたい視点です。

ビジネスチャンスとしてのDE&I

2024年の4月から施行された改正障害者差別解消法の下では、合理的配慮を提供しない企業は罰せられる可能性があります。そこまで行かずとも、企業としての評判(レピュテーション)を毀損することは避けられません。これほどDE&Iが言われる中にあって、取り組みが不十分な企業は、好感と信頼を得るのが難しいからです。そうなれば顧客や取引先、投資家、そして、社員が離れていくことも十分に予想されます。

しかし、真に注目すべきは、そうしたマイナスの面ではなくプラスの面、企業として成長するチャンスを自ら放棄してしまうことです。

垣内 俊哉 株式会社ミライロ代表取締役社長

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かきうち としや / Toshiya Kakiuchi

1989年生まれ、岐阜県中津川市出身。骨形成不全症という遺伝性疾患のため、幼少期より骨折が多く、車いすでの生活を送る。2010年、立命館大学在学中に株式会社ミライロを設立。バリアフリーマップの制作や、ユニバーサルマナー検定の運営を行う。近年は、デジタル障害者手帳「ミライロID」の開発・運営も手掛けている。2013年に一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会を設立し、代表理事に就任。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会アドバイザー、国家戦略特別区域諮問会議有識者議員などを歴任。龍谷大学客員教授、上智大学非常勤講師、立命館大学訪問教員も務める。

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