0歳から89歳、47人が暮らす家に行ってみた 東京・日暮里にある「コレクティブハウス」

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縮小
東京23区内でこれほど広いリビングを使えるのも、共同で生活するメリットのひとつだ
日本の世帯は、確実に縮小に向かっている。高度経済成長期に台頭した「核家族世帯」と、近年増加している「単身世帯」の2つがその代表である。
「単身世帯」はもちろんのこと、「核家族世帯」も、家族の規模として適切なのだろうか。安心して子供を育て、次世代の労働力を再生産するには、これらの世帯は細かく分かれすぎてしまっているのではないだろうか。「核家族世帯」と「単独世帯」以外に広がる多様な選択肢の向こうに、孤立することの不安から逃れ、多様な縁を紡ぐヒントがあるのではないだろうか。
本連載では、多様な暮らし方の事例から「無縁社会」への対抗策を探る書籍『多縁社会』の筆者たちに、このような疑問に答えうる事例を紹介してもらう。いずれも現代では常識とは言えないが、豊かで幸せで、「縁」にあふれた暮らし方である。

コレクティブハウスって、何?

血縁・地縁・社縁が急速に失われつつある日本。「無縁社会」という現実をよそに、さまざまな新しい暮らし方が実践されつつある。綿密な取材を通して、日本社会の「縁」のあり方に迫るルポルタージュ。

「コレクティブハウス」という言葉を聞いたことはあるだろうか。コレクティブハウスとは、もともとは1960年代にスウェーデンで生まれた、働く女性たちが共同生活を送る住居形式である。働きながら子育てをすることの不安を、食事の準備や子育てを居住者同士でシェアすることで軽減する。そんな意義の下に生まれた。

近年、増加傾向にあるシェアハウスと混同されることもあるが、建築的に言うと、各戸にリビングやキッチンがあって暮らしは成り立つが、さらに共用の広々としたリビングとキッチンがあるのがコレクティブハウスである。一方、共用のリビングやキッチンはあるが、各戸にはそれらがないのがシェアハウスだ。

日本初の本格的な居住者自主運営型のコレクティブハウスが、東京都荒川区にある「コレクティブハウスかんかん森」だ。最寄り駅を降りて東京スカイツリーを横目に、静かな商店街と住宅街が入り混じった道をしばらく歩くと、12階建ての中規模な建物が現れる。その2階と3階が「かんかん森」である。ここでは、0歳から89歳までの47人(大人34人・子供13人)が生活をしている(取材当時)。

「かんかん森」で暮らす47人は、共同体としてどんな生活を送っているのだろうか? 彼らは何を求めてここにやってきたのだろうか?

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