0歳から89歳、47人が暮らす家に行ってみた 東京・日暮里にある「コレクティブハウス」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そんな疑問を解き明かすため、実際の居住者にお話を伺った。インタビューにご登場いただくのは、子育てママの伊藤さん。旦那さんと、小学校5年生・1年生・0歳(取材当時)の3人の男の子と、家族5人で「かんかん森」に暮らしている。伊藤さんのご家族は2年前まで京都で暮らしていたが、突然の旦那さんの東京への転勤の話が持ち上がり、家族みんなでの引っ越しを決意した。

伊藤さんのご家族は、なぜここ「かんかん森」を選んだのか? 共有のリビングにあるソファに腰掛け、生まれたばかりの男の子をあやしながら、和やかな雰囲気でインタビューは始まった。

人間関係を一気につくる

インタビューに答えてくれた伊藤さん

「京都での暮らしが長かったため、東京では知り合いはおらず、土地勘もありませんでした。夫は仕事が忙しく、帰りが遅くなることがわかっていたので、知らない土地で自分と子供だけで家の中に長時間缶詰めになってしまうのは、避けたかったのです。東京への転勤期間は2~3年で、また京都に戻る予定だったので、じっくり時間をかけて人間関係をつくることは難しいと思っていました。そんなときに、ここを知りました。こういうところなら、短期間で一気に人間関係をつくることができると感じました」

地縁という言葉がある。住む土地に基づく縁故関係のことで、地域共同体・町内会・向こう三軒両隣のような地域コミュニティを表している。こういったコミュニティは、ある程度の長い歴史を経て形成されたものであるため、独自の慣習・作法・しきたりや、ある種の硬直した人間関係が内在していることが多い。だから、新規住民が加わったとしても、なかなか短期間で溶け込めるものではなかったりする。

そういう状況を察知し、伊藤さんは確かな戦略性を持って「地縁の代替」としてコレクティブハウスを選択したという。人間関係を一気につくることができる環境は、子育てママにとって非常に心強かったであろう。それは、子供にとっても同じだったようだ。

「京都の友達と離れてしまうので、思春期の長男は東京への引っ越しを本当に嫌がっていました。でも、家族みんなで見学をしたときに、広々としたリビングやテラスが気に入ったのと、実際に何人かの居住者と話せたことで、嫌がることもなくなってきました」

見学後、通勤時間が長くなる旦那さんとも話し合い、了解のうえで「かんかん森」に住むことが決まった。実際に住み始めるまでの不安はなかったのだろうか?

次ページ「地縁の代替」以外のメリットとは
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事