セブン、苦戦報道で「不親切なレジ」批判沸騰の訳 「高齢者泣かせ」「冷たい接客」との声…一体なぜ?
機械操作が苦手な高齢者などが有人レジだと思ってそこへ行ったのに、結局うまく操作できずに戸惑ってしまう……なんてこともあるだろう。その結果、後ろには行列が生まれてしまって、背後からの無言の視線を感じあたふたする。あたふたするとさらに操作ができなくなってしまう。そんな悪循環を経験したり、見た人もいるのではないか。
DX化の進展に伴い、至る所でセルフレジが増えてきた。しかし、それぞれの売り場の現場を見ていると、特に高齢者を中心として、セルフレジを使いこなすのは難しいようである。
他店の例になるが、実際に私がフィールドワークをした話で説明しよう。とあるイトーヨーカドーでのことだ。イトーヨーカドーはDX化に力を入れていて、近年リニューアルした店舗ではセルフレジをたくさん導入し、有人レジのスペースを減らしている。
しかし、その結果、何が起こったか。セルフレジを敬遠した高齢者の多くが有人レジに並び、そちらが大行列になっていたのだ。
筆者がフィールドワークした際は、有人レジは数も少ないからすぐに列ができてしまい、長蛇の列が店の売り場まで伸びて、売り場の快適さまでもが失われた印象だった。
時代に追いつけない高齢者は無視…ではいけない
こういった話になると、「時代に追いつけない高齢者のほうが悪い」「でも、いずれ慣れないといけないでしょ?」といった(過激な)意見を目にすることもある。しかし、ビジネス的な観点で考えると、客離れは望ましいことではないし、袋詰めまでしてくれる別の店に行くようになるだけだろう。
そもそも、レジは顧客体験に大きく影響する。良品計画代表取締役社長や、同社代表取締役会長などを務めた松井忠三は、自著『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』(角川書店・2013年)の中で仕組みづくりの重要性を説いているが、本書の中で最初に登場する図表が、レジ応対に関するものだ。
■(何)お客様が購入される商品の代金をいただき、商品をお渡しするお客様対応です。
■(なぜ)レジは店舗業務の20%を占める重要な仕事なため。
■(いつ)随時
■(誰が)全スタッフ
※多い店では1日に千人のお客様がレジを通過されていきます
※「買ってよかった」「良いお店だな」そう思っていただけるチャンスが多い場面でもあります。
チェーンストア研究家としては「とは言え、無印良品のレジもセルフレジが現金専用のところもあるし、不便に感じてる人も少なくないよね?」と言いたくなるが、それはさておき、無印良品がレジ応対を重視してきたこと、消費者の店に対する印象を大きく左右するものだと理解していることがよくわかる。
話をセブンのレジに戻そう。前述したような、現実的な不便も生じている一方で、もう一つ「レジへの不満」で重要だと思うのは、「接客の温かみがない」という意見だ。前述した筆者の記事についたコメントの中に、こんなものがあった。
「セブンの会計方式は、商品のバーコードスキャンまでしてくれるんだけど、その後の対応が中途半端に思える。ここまでやったんだからあとは客に任せるよ、と感じてしまうので印象が下がる。この方式がわからない人にとっては塩対応された、と思うよな」
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