北朝鮮軍のロシアへの派兵は確実に始まっている 派兵実現を急いだロシア・北朝鮮の本気度

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ウクライナ軍関係者によると、金総書記は派兵に当たり、プーチン氏に対し「何よりも実戦経験を積むことが必要」との極めて強い調子で語ったという。

すでに北朝鮮は600万個ともいわれる大量の砲弾を供与。さらに短距離弾道ミサイルも供与しているが、今回の派兵はこうした軍事支援とは明らかに性格が異なるのだ。

認識すべき新局面

この「実戦経験」発言で想起されるのは、最近の北朝鮮での韓国に対する極めて対決的な言動だ。韓国を「敵対国家」と規定したと報じたり、金総書記が朝鮮人民軍の指揮所を訪れ、敵国と見なす韓国との臨戦態勢に備えるよう指示するなど、韓国に対する軍事的威嚇を強めている。

つまり、今回の北朝鮮の派兵開始で認識しなければならないのは次の3つの新局面だ。①北朝鮮が派兵したことで、ウクライナ侵攻が朝鮮半島情勢とリンクした、②派兵により北朝鮮と韓国との関係がより緊張度を増す可能性が出てきた、③朝鮮半島の今後の展開次第で、ロシアが北朝鮮への軍事支援に乗り出す事態も否定できない局面に入った、である。

上記した新局面に対して、アメリカや日本はそれぞれ大統領選や解散もあり、反応が遅れた。しかし今後は韓国や欧州とも連携し、しっかりと対応策を練るべきだ。

吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長

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よしだ しげゆき / Shigeyuki Yoshida

1953年、東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科卒。1986年から1年間、サンクトペテルブルク大学に留学。1988~92年まで共同通信モスクワ支局。その後ワシントン支局を経て、1998年から2002年までモスクワ支局長。外信部長、共同通信常務理事などを経て現職。最初のモスクワ勤務でソ連崩壊に立ち会う。ワシントンでは米朝の核交渉を取材。2回目のモスクワではプーチン大統領誕生を取材。この間、「ソ連が計画経済制度を停止」「戦略核削減交渉(START)で米ソが基本合意」「ソ連が大統領制導入へ」「米が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの脱退方針をロシアに表明」などの国際的スクープを書いた。

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