渋澤 組織における自分の保身のために使っているのが現状です。これから、そのようなマインドセットに変化があると期待したいのですが・・・
藤野 資産運用ビジネスは本来、お客様の資産を殖やすという非常にシンプルな目的のためにあるものですよね。銀行や証券会社が集めているお金って、国民の貴重な財産なのに、これまでの投信ビジネスを見ていると、ファンドマネジャーはどうも運用に対して熱心ではない。
本当は粉骨砕身、お客様の資産を殖やすために努力する必要があるのに、それをやっていない。なぜなら、リターンを上げなくても、販売金融機関の営業力によって、お金がどんどん集まってきたからです。でも、運用成績の良いところにお金が集まれば、良い会社が買われ、悪い会社が売られるという当然のことが起こり、健全な規律が生まれます。シンプルに、お客様のために運用することを忠実に守るという意味で、フィデューシャリー・デューティーが強調されるようになったわけです。
日本経済の持続的な成長の土台を作れ
渋澤 伊藤レポートの根っこの精神は持続的成長の促進です。そのために、企業側も運用側も、やらねばならないことがある。そして、企業側と運用側という両輪が、お互いに信頼関係を築くため、目的ある対話が必要ということです。企業と運用会社がきちっとコミュニケーションをとることによって、そこに持続的成長の土台が出来上がるのだと思います。それが、藤野さんがさっき言った漢方薬ですよね。
中野 フィデューシャリー・デューティーの主役は投資信託業界です。投資信託会社が悪さをしないようにするため、今までは法律というルールで縛ってきたわけですが、これが逆に「ルールに書かれていなければ何をやっても良い」というモラルハザードにつながっていました。
でもフィデューシャリー・デューティーに関しては、ルール化するものではないけれども、自分で世の中にお客様に対する受託者責任、あるいは忠実義務を宣言して下さいということですから、プリンシブル、つまり原理原則で自らを律する!という非常に重いことだと思います。自ら宣言しておいて、受託者責任にもとることをすれば、お客様からそっぽを向かれてしまいます。
渋澤 マーケットは乱高下を繰り返していますが、こういう時だからこそ、持続的成長のために何が必要なのかをじっくり考える必要がありますね。
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