渋澤 天津の大爆発のような、不穏な動きもありましたしね。
藤野 天津で起こった爆発事故ですが、これは結構、中国経済にとってネガティブなインパクトがあったと思うのですよ。多くの人は過小評価していて、確かにあの爆発自体は大きな事故だったけれども、中国の景気にとってそれほどインパクトはない、あくまでも限定的な話と受け止められていました。
でも、この事故はヤバかったと思いますよ。なぜなら、その前の時点ですでに、中国ビジネスにかかわっていた人の多くは、さらに深くかかわっても大丈夫なのかどうかを悩んでいたわけです。あのような事故があったら、やはり様子を見よう、取引を止めよう、工場進出を止めようというように、ネガティブな方向に意思決定が傾くことになります。
それをマーケットが気にしたのではないでしょうか。当面、恐らく年末くらいまでは、マーケット的な好材料が見えにくい状況で、僕らとしてはその中で、どのようにポートフォリオ戦略を取れば良いのかを考えているわけです。
成長が鈍化すると、隠れていた不安要因が顕在化
中野 少しリスクオフの傾向も強まりそうですね。
藤野 中国経済だけでなく、他の新興国もツレ安しますしね。リスクオフの動きは見ていく必要があると思います。
中野 不穏な動きといえば、極東アジアの情勢もそのひとつだと思います。今は一段落していますが、朝鮮半島でも「ギリギリの状況」になったじゃないですか。仮に有事になったとしても米軍が出てきて、武力衝突自体は比較的短期間で終わるという人もいますが、もし北朝鮮の体制が崩壊したら国境を超えて、北朝鮮の人たちが韓国や日本に流れ込んでくる可能性があります。大規模な人の移動が生じれば当然、経済は混乱しますから、その不確定要因も株価にとってはマイナス材料になったと思います。
渋澤 やはり経済成長が鈍ると、それまで奥底に隠れていたネガティブな要因が表に出てきますね。中国が9%、10%という成長を続けていれば、恐らく朝鮮半島情勢は平穏なのでしょうけれども、成長率が鈍化すると、中国の北朝鮮に対する経済支援が滞るので、今回のような問題が浮上してきます。
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