オリンパス不祥事に海外投資家は何思う--リチャード・カッツ

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 公に抗議をしているのは、外国人株主だけであり、そのうち3社はオリンパスの大株主上位5社に入っている。抗議している理由の一つは同社の上場廃止をどうしても回避したいからだ。

三井住友フィナンシャルグループ、三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループなどの主要取引銀行も、自社の役員を同社に送り込むことはしなかった。多くの大企業が債務を大きく削減したため、もう銀行にはそうしたことを行う力はない。

だが、オリンパスの債務水準は非常に高いため、主要取引銀行にそうした力が残っている。2011年のオリンパスの長期債務は総資産の49%で、キヤノンの0・3%やニコンの5・6%を大きく上回っている。

オリンパスの経営の誤りは多くの日本企業で非常によく見られるパターンだ。

報道によれば、01年3月にオリンパスには71社の子会社や関連会社があったが、10年後にその数は199社と3倍近くになった。子会社群はペットケア・サービスからDVD製造にまで及び、オリンパスの主力製品の内視鏡やカメラとの関係がなさそうな事業も多く手掛けてきた。ほとんどの子会社は赤字であり、オリンパスの利益のほぼすべてが内視鏡ビジネスから生まれている。

同社はこの点において例外的とはいえない。企業規模を拡大こそすれ、赤字を生んでしまうやみくもな多角化が、日本経済が成長できない最大の理由の一つである。

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