
全社員に求められる強いコスト意識
京セラを創業する際、技術者でしかなかった稲盛さんは、経営はいかにあるべきかわからず、大変悩んだといいます。
しかし、よくよく考えると経営とはそれほど難しいことではなく、売上を最大にして経費を最小にすれば、残りが利益になる。だから、全員で「売上最大、経費最小」を目指せばいいことに気が付きます。
それが全員参加経営とつながっていくのです。
京セラは製造業ですので、稲盛さんは常に製造現場での無駄の削減に注意を払っていました。
工場へ行けば「床にネジが落ちている。このネジ、1本いくらだ」とか、「原料がこぼれている。この原料は1グラムいくらだ」と問いかけて、現場社員の経費に対する感度を高めていきました。間接部門の人には「塵箱に何が入っているかを見たら、何を無駄にしているかわかるんだ」と、コスト意識を高めるように促していきました。