競輪・競馬・飲酒・喫煙を18歳からの権利にするな 子供を「ギャンブル」から救う必要がある

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飲酒・喫煙に関しては、委員会出席者から反対が続出して、改めて討議することになったのは幸いでした。健康被害の恐れの大きいことが医学的にも証明されているというのが主な反対理由でしたが、同じ高校生でも18歳と17歳が混在しているので、教育現場の相当な混乱も指摘されました。

ところで公営ギャンブルに関しては、委員の誰からも反対意見がなかったそうです。私は委員会のメンバーが、余程高尚な世界だけを歩いてこられた方々だったか、昔のお殿様のように、世相に疎い方々で構成されていたのではなかったかと疑っています。

それで公営であろうとギャンブルが、いかに人間を壊すものであるかを、庶民生活60数年の私が、見聞きしたことだけからでも、お教えしようと思いました。

以下は公営ギャンブルを超えてギャンブル一般について書きますが、競馬などの公営ギャンブルと本質的には同じ動機で行われ、潜在的にギャンブル中毒になるという問題意識から書かせていただきます(もちろん、適度で合法的な付き合い方で趣味として楽しむだけにとどめている方のことを批判するわけではございませんので、ご了解ください)。

家族全員がギャンブルの犠牲に

公営であろうが闇であろうが、ギャンブルには人間から勤労意欲を奪う危険性がつきものです。

佐野さん(仮名)は高校卒業後すぐに、飲食業の勤め先の先輩方から誘われて、のみ屋(ヤミの馬券売り)から電話で馬券を買う方法を覚えました。偶然でしょうが彼にもビギナーズラックがあったそうです。まじめに働くことなど、バカらしくなるのに、時間はかかりませんでした。

佐野さんの兄は、一流大学の出身者です。佐野さんが親や友人から借金を重ねてギャンブルにのめり込んでいるのを、みてはいられません。「馬がお前の望む通りに走るわけがないだろう!」と怒り心頭で弟を叱っていましたが、ミイラ取りがミイラになり、気が付けばすっかり自分も賭博にはまりました。しかも兄の方は、ギャンブルなら手を出さないものがないというほど、オールマイティに変貌しました。

ギャンブルは本人だけでなく、大切な家族全員の人生を狂わせます。兄弟はその間に結婚し子供も設けましたが、共に借金が膨らみ、一家離散になったのは言うまでもありません。親兄弟とその家族、妻たちの家族を含めると、何人の人の人生が破たんしたでしょう。ギャンブル癖と学歴は無関係です。

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