日経平均株価をもっと個別でみるクセをつけよう 三菱地所は2013年の高値を更新できていない

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正直に言うと、筆者は生まれて初めて株価チャートを見たとき、MAが何を意味するかも理解せず、「こんな線、ないほうがすっきりして見やすいのに」と思ったのが第一印象である。だが、MAはテクニカル分析において、「一丁目一番地」のように重要な存在である。

株価分析においてMAが教えてくれることは、①MAの傾きで株価トレンドの方向性と強さ、②株価とMAの離れ具合(乖離=かいり)で買われ(売られ)すぎの過熱感、③株価とMAの位置関係の3点である。特に③は使用するMAが1本なら、株価は上か下かの2通りであるが、2本のMAを使用した場合は株価とMAの位置関係は6通りとなり、見事に「夏の盛り」なのか、「冬に向かっているのか」といった「株価の季節感」を表現する。その中で、今回は個人投資家にも馴染みが深いゴールデンクロス(以下GC)、デッドクロス(以下DC)で長期トレンドを確認したい。

アベノミクス以降の長期トレンドのGCとDCとは?

さて、日経平均の上昇率だけを見ると、実質的に2012年終盤から始まったアベノミクス相場の全期間において、株価は一本調子で上昇したように錯覚する投資家も多いのではないか。

だが、実際はそうではない。2013年から2024年(10月11日まで)までの期間、年間の騰落だけをみると「10勝2敗」と大幅に勝ち越しているが、2018年と2022年の2回は下落している。また2016年の上昇率はわずか0.42%となるなど、上昇率が1桁台にとどまった年も4回あるのだ。

ここで日経平均を月足で12カ月・24カ月の2本のMAを使って分析してみよう。2013年以降、12カ月MAが24カ月MAを下から上に突き抜けるゴールデンクロス(以下GC)を4回形成している。一方で、12カ月MAが24カ月MAを上から下に突き抜けるデッドクロス(以下DC)も3回形成している。

GCとDCは、ともに株価とMAの位置関係のサイクル変化における一部分だが、株価変動に対する遅効性が、MAの日柄(日数)が短いほど小さく、長いほど大きくなる性質を利用している。

株価とMAの位置関係は、GC形成後は上から「株価>12カ月MA>24カ月MA」となる。一方、DC形成後は上から「24カ月MA>12カ月MA>株価」となる。GC形成後を順パターンの上昇トレンド、DCの形成後を下降トレンドと判断する。前出のように株価と2つの移動平均線の位置パターンは6つあるが、今回は2つに絞ってみてみよう。

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