日経平均株価をもっと個別でみるクセをつけよう 三菱地所は2013年の高値を更新できていない

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一方、今年に高値をつけた121銘柄についても、高値月は千差万別である。日経平均が最高値をつけた7月に高値となった銘柄は37あるが、その後の8月から10月11日までに高値をつけた銘柄も30に及んでいる。

アベノミクス相場の「前半組」と「後半組」の特徴

株式市場をアベノミクス相場の前半である2013年から18年までと、2019年から2024年までの公判に大雑把に分けて考えるのも有効だ。この2つの時期で考えると、日経平均は前半で92.5%、後半で93%と上昇しており、前半と後半の上昇率は、ほぼ拮抗していることになる。

個別では前半の上昇率が高かったものの、後半に失速した銘柄として資生堂(4911)、ソニーグループ(6758)などが挙げられる。また、ZOZO(3092)のように前半と比較して後半の上昇率が鈍化したものの、9月に高値を更新した銘柄もある。

後半に上昇が加速した顕著な例としては、半導体関連株のほか、フジクラ(5803)、日立製作所(6501)、防衛関連として位置づけられる日本製鋼所(5631)、三菱重工業(7011)などが挙げられる。

半導体関連は、今年4月から7月に高値をつけた銘柄が多いものの、その後の期間で40%を超える下落となった銘柄も散見される。また海運株も川崎汽船(9107)の27%台をはじめとして、他も2桁の下落となっている。ここではその中で、10月に最高値を更新した三菱重工業と、不調のエムスリー(2413)の株価トレンドを診断したい。

三菱重工業の株価騰落率を上記前半・後半で分けると、前半が4.7%下落したものの、後半はなんと5.6倍もの上昇となっており、直近でも10月につけた高値からの下落率も7%台にとどまっている。

株価とMAの位置関係も、長期トレンドを見る月足で「株価>12カ月MA>24カ月MA」、中期トレンドを見る週足も「株価>13週MA>26週MA」となっている。

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日足に関しては25日MAの上位にあるものの、7日に5日MAを割り込み「5日>株価>25日MA」となっており、11日にはわずかながら5日MAを上回ってきたものの、短期トレンドではピークアウト感が出始めている。

一方、前半上昇型のエムスリーについては、現状の株価は2021年1月につけた高値に遠く及ばないが、日足で「株価>5日MA>25日MA」、週足で「株価>26週MA>13週MA」で両MAのGCが接近、月足でも短期・中期トレンドの改善が月足チャートに影響を及ぼしており、位置関係は「24カ月MA>12カ月MA>株価」で下降トレンドであるものの、12カ月MAに対する下方乖離は6%程度と、以前と比較して大幅に縮小している。

現在の株式市場は、衆議院解散後の総選挙ということもあり、政治の話一色である。だが、このように株価の超長期のトレンドをみて、順張りで行くか逆張りで行くか、またその組み合わせの「合わせ技」で行くかなどを、じっくり吟味したい。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

野坂 晃一 日本テクニカルアナリスト協会理事

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Kouichi Nosaka

964年生まれ。函館ラ・サール高校卒、日本大学工学部機械工学科卒。 レーシングマシン等を手掛ける株式会社無限を経て、1989年に証券界入り、企業調査、投資情報、ディーリング業務に携わる。2010年9月に証券ジャパンに入社。 日本テクニカルアナリスト協会理事、国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。

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