炎上した「移住婚」宇都宮には女性が殺到したワケ 女性の流出が止まらぬ地方自治体に残された課題

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そういった意味でも、東京からそれほど遠くない距離の移住婚支援企画に参加したほうが、お相手と会いやすいでしょう。新幹線や飛行機を使って移動しなければならない距離の相手とは、結婚まで距離を縮めるのは難しいかもしれません。

宇都宮の企画では定員オーバーでしたが、やはり東京から距離のある地域での移住婚支援企画は、女性の集客に苦戦するケースも少なくありません。

女性に来てもらいたいと女性の参加費を無料にして、お土産も付けた企画をする自治体もありますが、そうなるとただのレジャー目的の女性しか申し込まなくなるというジレンマもあります。

移住婚の課題は「距離」以外にもある

一方で、相手の居住地にこだわらないという女性もいます。数年前に私の元へ相談にきた結花さん(仮名、30代半ば)は、マッチングアプリで知り合った東北地方で農家を営む博史さん(仮名、30代前半)に会うため、4時間かけて会いに行っていました。

結花さんは首都圏出身ですが、大学では農学を専攻しており、もともと農業に興味がありました。自然豊かな環境に憧れていて、農家との結婚もいいかもしれないと思っていました。

博史さんとマッチングしてから、アプリ上でのやり取りはとても盛り上がったといいます。彼の住む街にも興味が湧き、連休を使って会いに行ったときには博史さんも彼の両親も手厚くもてなしてくれました。

しかし「おや?」っと思うことも多かったそうです。

「あの家は娘が出戻りなんだ」「あの人はいい年してまだ独身」「近所の〇〇さんはお母さんが病気しがちで体が弱いんだ」などと他人の噂話が多かったといいます。彼らには他人のプライバシーに対する意識が高くないようなのです。

数日滞在して、これは博史さん個人の性格というよりも、そのコミュニティの文化や習慣の影響が大きいと気が付きました。

おまけに、「結婚したら子どもを産んでほしい。生活費は渡すから家のことは全部やってほしい」と、結花さんの気持ちや都合を無視した一方的な希望を聞かされたのです。

「30年前ぐらいの感覚で止まっているような意見に、今後、価値観の違いを乗り越えられるとは思えませんでした」(結花さん)

彼とはそれ以上、距離を縮めるのをやめました。

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