国際映画祭に見た、映画祭が「脱映画」を図る未来 釜山国際映画祭では、動画配信作品が勢い増す

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今年の映画祭は、開催前に運営トップの辞任が相次いだ昨年とは打って変わり、今年2月に新理事長に就任したパク・グァンス氏の下でスタート。運営陣の刷新による映画祭予算の縮小も報道されたが、体感としてはここ数年とほぼ変わらない。マーケットでは新たなプログラムがスタートし、積極的な映像ビジネスの拡大に向けた姿勢が見受けられた。

また、今年はシャネルがメインスポンサーに加わり、賞の新設(カメリア賞:アジアにおける映画界での女性の芸術的貢献を表彰)や、作品上映前に同ブランドのショートストーリー(ペネロペ・クルスとブラッド・ピット出演)を上映するなど、映画祭を華々しく飾った。

黒沢清監督や、松重豊に注目が集まる

映画祭に参加した日本の俳優陣や監督たちにも、多くの関心が寄せられた。

アジアのメディアから注目を集めたのが、黒沢清監督だ。黒沢監督は、アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。アジア映画産業と文化の発展にもっとも貢献したフィルムメーカーを表彰する賞であり、過去の日本人受賞者には坂本龍一、是枝裕和監督、鈴木清順監督、若松孝二監督などが名を連ねる。現地記者会見には多くのメディアが詰めかけた。

『劇映画 孤独のグルメ』で釜山凱旋となった松重豊も、注目を集めた1人。本シリーズは、2019年の年末スペシャルドラマで釜山ロケを行ったほか、今回の劇場版でも物語の舞台のひとつになり、松重にとって釜山は馴染み深い場所だ。

釜山国際映画祭 孤独のグルメ
井之頭五郎を演じてレッドカーペットを歩いた松重豊(画像提供:BIFF2024)

すでにドラマ版が韓国でも人気の同作だが、劇場版のワールドプレミア上映(世界初上映)の地に縁のある釜山を選んだことで、同映画祭では、オープニング作品、クロージング作品に次ぐ扱いで迎えられた。

日本映画に関しては、映画祭出品数は例年並みだったが、大手映画会社の商業大型作品は減っており、同時にオープニングセレモニーへの監督や俳優の出席者が減少していることも感じられた。そのあたりは昨今の日本映画の作品ごとの懐事情が反映されているのかもしれない。

一方で、開幕日以降の上映にあわせた独立系の中小規模作品からのゲスト参加もあり、それぞれ上映後のティーチインイベントでは観客との積極的なセッションが行われて、映画祭を盛り上げていた。

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