中学受験の「魔の夜」を避けるためにすべきこと 「魔の月」の苦しさと向き合い現実を受け入れる
2月1日や2日に午後入試を行う学校の中から、偏差値的には十分に手が届いてなおかつ実際にその学校にわが子が通うことになっても前向きな気持ちでいられる学校を見つけることが、親の重要な役割です。わが子が落ち着いた気持ちで最後まで中学受験をやりきるための環境づくりです。それができれば、仮に第一志望校が不合格だったとしても、どこかで納得できる合格を手にする可能性は高まります。
第一志望の複数回受験をどこまで深追いするか
前受け受験や1日・2日の午後受験で進学先が確保できていれば、憧れの第一志望校の2回目、3回目の入試をどんどん受けてかまいません。複数回受験してくれた生徒には加点の優遇措置がある学校も少なくありません。しかしいくら憧れの第一志望であったとしても、ほかに進学先が確保できていないのに複数回受験に全振りするのは危険です。
一般に初回の入試の難易度がいちばん低く、後半の日程になればなるほど難しくなります。初回の入試で緊張などのために実力が発揮できず紙一重で不合格になったような場合であれば、2回目以降の入試で少しゲタを履かせてもらうことで合格を引き寄せることはありますが、いくら加点措置があるからといって、もともと箸にも棒にも引っかからない受験生が逆転合格をする可能性は極めて低いのが現実です。
第一志望校は子どもにモチベーションを与えてくれる学校だと先述しました。その意味では合格可能性が低くても、チャレンジはさせてあげたほうがいい。ただし、初回の入試でも偏差値が遠く足りていなかったり、過去問でほとんど合格最低点をクリアできていない状況ならば、その現実を受け入れて深追いを避ける決断も必要です。
つらい決断です。でもその現実を徐々に受け入れるという意味で、複数回受験を行う学校を第一志望にする場合、「12月の最後の模試でこれくらいの成績がとれていなかったら、第一志望のチャレンジは2月1日だけにして、そのほかの日程は別の学校を受けようね。いい学校はほかにもいっぱいあるからね」などと、10月や11月の時点からやんわりと子どもに伝えておくことが実は重要です。
現実から目をそらすのではなく、10月・11月の「魔の月」の苦しさに真正面から向き合い、この時点から少しずつ現実を受け入れていくことで、いざ入試本番にパニックに陥る可能性を減らせます。仮にどんな結果になったとしても「やりきった」という達成感を味わうための地ならしになります。結果にかかわらず中学受験を笑顔で終えている親子には、その点が共通している——。それが、これまでの取材経験からいえることです。
中学受験に必勝法はありませんが、必笑法ならあるのです。
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