低迷する日本でも、新しい需要やビジネスチャンスは間違いなく生まれている。問題は、そうした「新しいマーケット」や「新しいビジネスチャンス」に「古い現場力」で対応しようとしていることである。
もちろん、ベテラン社員も重要な多様性の一部だ。過去の経験則が活きるものについては、ベテランの知恵や経験を活かすことは、これからも大切だ。
大事なのは、お互いをリスペクトし合う関係性の構築である。
お互いの意見に耳を傾け、意見の違いを尊重し、時には衝突や対立を恐れず、議論ができることこそが「新しい現場力」だ。
「多様性」「違い」を受け入れ、活かす
たとえば、若い社員の中には、ある専門分野に精通した即戦力の人材もいれば、桁外れのエネルギーやきわめて斬新なアイデアを持つ人もいる。
そんな人材を何年も「塩漬け」にして活かさないのは会社にとって大きな損失以外の何物でもない。やる気のある人材であれば、そうした待遇に不満を感じ、退職してしまうだろう。
「お前は若くて何も知らないのだから黙ってろ」は禁句である。
「何も知らない」ことは欠点でもなければ、マイナスでもない。むしろ、「過去に縛られない」という強みである。
人は程度の差こそあれ「アンコンシャス・バイアス」(無意識の偏見)から自由ではない。
たとえば、職場においても女性や若い人に対して見下したような態度をとったり、軽く扱ったりする管理職はいまだに多く存在する。
多様性の本質とは、ジェンダーやマイノリティに限らず、一人ひとりが持っている「違い」を認め、尊重し、活かし合うことである。
「違い」を認め、活かすためには、経営者や管理職がまっさらな気持ちで社員の一人ひとりと真正面から向き合い、「意見」とは「異見」であることを認識することが必要不可欠である。
「正解」のない時代に前に進むには、本気で意見を交わし、意見の違いや衝突を楽しむ「新たな空気」 を生み出す必要がある。
「厄介な問題」に対処するプロセスにおいては、必ず 「建設的対立」 が生まれる。
衝突を繰り返すことによってのみ、問題の本質に迫り、最適解に近づくことができるのだ。
「厄介な問題」に柔軟に対処し、「多様性を活かす現場力」へシフトすることができなければ、絶好のビジネスチャンスを逃してしまうことになるのだ。
現場力を鍛えて「強い組織・チーム」を作ろうと思えば、多様な個性を連携させ、
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