東京で急増「貧しい日本人を排除するビル」の矛盾 富裕層向けの商業施設、なぜこうも金太郎飴化?
「高輪COROX」との違いといえば、高層階にレジデンスが入っていることだろうか。ただ、これも一部はホテルブランドのアマンがやっているから、ある意味でホテルの延長線上のようなものかもしれない。
これから建設予定のビルでも、同じような構成のものが多い。
例えば、2027年竣工予定で完成すれば日本でもっとも高いビルとなる「TOKYO TORCH」。デベロッパーは三菱地所だが、中層階にはぎっしりオフィスが入り、高層階には「ウルトララグジュアリーホテル」が入居。そして、低層階には独特の曲線が見られる建築があり、地上にはいい感じに緑がある。
似ている。似すぎている。
似たようなビル…マーケティング的に失敗では?
「高輪COROX」がここまで現在の再開発ビルの特徴を捉えるのには、理由がある。というか、現在のさまざまな状況を踏まえれば、こうならざるをえないからだ。
都心部の狭い土地で、大規模に再開発を進めるとなれば、ある程度そこにできる建物を高くしないと工事費をペイすることはできない。建物が高くなり、床が増えれば増えるほど、賃貸面積が増えるからだ。『地面師たち』で問題になっている土地も、寺に隣接した駐車場であり、そこまで広いわけではない。
また、もともとそこの土地に住んでいる地権者が持ち出しをすることなく、同じ土地に再び入居することができる、いわゆる「権利変換」を行えることもあり、高層化は「魔法の杖」ともいえる。
さらにはこうした方法については、国からの補助金が出るケースも。だから高層化が進むのだ(NHK取材班『人口減少時代の再開発 「沈む街」と「浮かぶ街」』)。
さらに短期間での利益回収を目論むなら、よりそこでお金を落としてくれる富裕層向けのホテル、さらにはある程度長期での賃貸を目論むことができる大企業のオフィスなどを誘致するのが早い。簡単に言えば、「高級化」したほうが、手っ取り早いのだ。
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