生成AI導入を「コンサルに丸投げ」する会社の盲点 「なんでもできる」チャットボットの幻想とは
私自身、これまで多くの企業から相談を受けてきましたが、汎用的なチャットボットを構築しようとして失敗したという事例を多数見聞きしました。この失敗の原因の一つに、生成AIの検索性能の限界があります。生成AIは膨大な情報を保持していても、適切な情報を検索することが非常に難しいのです。結局のところ、あらゆる質問に対応できるチャットボットを作ることは非常に難しく、多くの場合は期待された効果を得られないまま終わってしまうのです。
生成AIを効果的に活用するためには、インプットする問い合わせの範囲を限定し、生成AIが的確な情報から回答をできるようにすることが重要です。たとえ単純な業務であっても、その会社や部署特有の「やり方」が存在しているはずです。この「やり方」こそが、生成AIに教えるべき重要な情報なのです。
たとえば、経費精算業務では、申請書の記入方法や承認のルールは会社ごとに異なります。この「やり方」を生成AIに学習させることで、適切な判断を下すことができるようになります。また、顧客対応業務では、よくある質問や回答の例を生成AIに提供することが有効です。
ただし、その際も、自社の業務に特化した内容である必要があります。汎用的な「やり方」や知識を生成AIに提供しても、実際の業務で役立つことは少ないでしょう。生成AIに求めるのは、あくまでも自社の業務に特化した知識と判断基準なのです。
最初に要件を固めすぎてはいけない
2つ目は、「最初に過度な要件定義や計画立案してしまう」ことです。
従来のソフトウェア開発プロジェクトにおいては、当初の要件定義や計画立案がプロジェクトの成否を決めるといった考え方が主流でした。システムの機能や非機能要件を細部にわたり定義し、それに基づいて開発スケジュールや必要な工数を綿密に計算して、完璧に見える計画を立てるという、いわゆるウォーターフォール型のプロジェクト進行が一般的でした。
しかし、生成AIの世界は常に進歩しているため、最初に形や中身を決めすぎてしまうと、変化に対応できなくなってしまいます。新たに開発されたAIモデルが登場することで、プロジェクト開始時に想定していたモデルよりも優れた性能を持つものが出現し、当初の要件が適さなくなることがしばしばあります。
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