この視点を、バーネットは企業進化に応用したのである。
捕食関係にある生物の進化と同じように、企業も互いに切磋琢磨し、競争することが互いの進化を促す、という視点なのである。
しかし、興味深いのはここからである。
バーネットは12年後の2008年に発表した論文で、ある意味で、先と真逆の議論を展開したのだ。
すなわち、「同僚やライバルと競争して切磋琢磨することは、本当の意味での成長のために必ずしもいいことではない」ということだ。
ライバルとの競争は、成長のためにいいとは限らない?
ポイントは、社会・ビジネス環境の変化がより激しくなったことにある。
このような状況で、目の前のライバルばかりを意識して競争をしていると、やがて競争そのものが自己目的化してしまい、競合相手だけをベンチマークとするようになる。
結果、細かな製品スペックなど「小さなレベルでの成長」しかできなくなり、「大きな環境変化が起きたときに対応できない」というわけだ。
「両利きの経営」でいえば、目の前のライバルとの競争だけを意識すると「知の深化」だけをやるようになり、大きな変化に必要な「知の探索」へ経営資源が割かれなくなる。
結果、環境変化が起きると対応できずに壊滅する、ということだ。
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