16億円で取引の鹿島、Jクラブ本当の市場価値は? 「安すぎる」の声に欧州ケースをモデルに算出すると…

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

このように日本では、取引価格の算定基準が定まっていない現状を踏まえ、木村氏らスタッフは、80本超の英語の論文・文献を1年かけて読み込み、欧米のクラブ価値基準がどうなっているかを調査した。

たとえばイングランドでは、1992年にプレミアリーグが発足したが、当時の選手年俸は低く、1994年時点での欧州最高年俸選手がドイツ代表のスーパースター、ローター・マテウス(当時バイエルン・ミュンヘン)の5000万円と言われる程度だった。

1990年代に1986年メキシコワールドカップ(W杯)得点王の元イングランド代表FWゲーリー・リネカーが名古屋グランパス、1990年イタリアW杯得点王の元イタリア代表FWサルヴァトーレ・スキラッチがジュビロ磐田に赴くなど、欧州で活躍した超有名選手が続々とJリーグに参戦していたのも、欧州での安すぎる年俸が背景にあったのだ。

チェルシーの価値は約20年で30倍に

しかし、欧州ではその後、「クラブの価値を可視化し、選手の市場価値を明確にしなければならない」という機運が高まり、放映権料の高騰も相まってクラブの価値がグングン上昇していく。

顕著な例が2003年のロシアの富豪・ロマン・アブラモビッチ氏によるイングランドの名門・チェルシーの買収だろう。当時の買収金額は約230億円だったが、2022年の売却価格は6800億円に膨れ上がった。

アメリカの場合は、4大スポーツと言われるメジャーリーグ(MLB)、バスケットボール(NBA)、アメリカンフットボール(NFL)、アイスホッケー(NHL)のクラブはほとんど黒字になっていない。彼らが重視しているのはインカムゲイン(投資資産保有で得られる収入)ではなく、キャピタルゲイン(保有資産売却差益)なのだ。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事