ボーク:私も日本で教育を受けたので驚きました。アメリカでは習い事や塾に子どもを駆り立てるような雰囲気は存在しませんよね。放課後になると子どもたちは学校の校庭や公園に行き、泥んこになって遊んでいました。
その様子を見て当初は「このままで大丈夫なのだろうか」と不安に思いました。ですが、彼らの高校卒業後の進学先を見ると、名だたるトップスクールで埋め尽くされていました。
窪田:小学校低学年のうちは、脳もまだ発達途中です。机に向かって黙々と勉強していることがよいとは必ずしも言い切れない年齢ですね。
自分に向き合う教育
ボーク:ほかにも驚いたのは、幼稚園や小学校の身体を動かすカリキュラムにヨガのクラスがあったりしたことです。
窪田:ヨガというと日本では大人がやるものというイメージがあります。なぜ幼児教育にヨガが取り入れられているのでしょうか。
ボーク:自分の感情と向き合う手段として取り入れているようですね。たとえば、イライラした気持ちを静めるときに、ヨガの呼吸をして落ち着かせたりしています。
2歳半の子が本当にヨガなんてできるの?と半信半疑でしたが、実際にヨガのクラスを覗くと先生のガイドに沿って上手にやっているんですよ。
窪田:日本では、「身体を動かす」イコール「スポーツ」となりがちですよね。習い事や部活でいきなりスポーツ要素が強い動きが多くなるので、身体を動かすのが苦手な子にはハードルが高いと思います。ヨガなら、どんな子でもチャレンジできそうです。
ボーク:そうですね。アメリカで娘を育てて実感したのは、小さいときにきちんと自分の身体と心に向き合うベースを作る教育がなされているということです。
窪田:ボークさんが子育てにおいて大切とされている非認知能力を育める仕組みがあるということですね。
ボーク:はい。非認知能力とは点数や偏差値のように数値化されない能力を指します。自分を大切にする「自己肯定感」、失敗を恐れずに挑戦する「自己効力感」、やりたいことを見つけて打ち込む「主体性」、思いやりといった「共感力」などの目に見えない能力の総称です。