窪田:目はもともと、近くも遠くもくっきり見えるようにとても精密にプログラムされています。ですが、近くのものばかり見るようになると、ピントが手元に合うようになり近視化が進みます。
目も身体の一部ですから、身体の成長期は目の成長期でもあります。園児から小学生の間に、近くのものばかり見ているとどうしても近視発症率が上がります。
ちなみに、ボークさんのお嬢さんはアメリカで生まれ育ち「全米最優秀女子高生」に選ばれたと伺っていますが、視力のほうはどうですか?
ボーク:娘は眼鏡とは無縁ですね。娘の学校のお友達も眼鏡をかけている子はほとんどいませんでした。
窪田:そうでしたか。近視要因は遺伝と捉えられがちですが、最近では、環境要因のほうが大きいと言われ始めました。ボークさんは、お子さんを目にとってもとてもよい環境でお育てになったんですね。
子どもの目によい環境とは
ボーク:「目に悪い環境」というのは、私の近視が進んだ経験からイメージがつきます。では、「目によい環境」というのは具体的にどのような環境なのでしょうか。
窪田:一言でいえば、「1日合計2時間ほど屋外で過ごす」という環境です。屋外に出ると自然に遠くを見ることにもなりますし、あらゆる波長の光を含んだ太陽からの自然光を一定時間浴びることができます。
ボーク:そうなのですね。思い起こせば、娘が通った学校は小学校3年生になるまで宿題はゼロで教科書もありませんでした。放課後に学校の宿題に追われるということは一切なく、学校が終わると子どもたちそれぞれが外に駆け出すといった感じでした。
窪田:私は日本の公立校に通い、父の仕事の関係でアメリカの小学校に転校しました。転校当時、日本とアメリカでの放課後の過ごし方の違いに面食らった記憶があります。日本にいるときは、放課後友達と遊ぼうとしても「塾に行くから」と断られたりしたものです。