1缶298円「未来のレモンサワー」脱安値化の適否 100円台のRTD市場に、アサヒの新戦力は定着?

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しかし、そんなアサヒビールがついにサントリーの「-196℃ストロングゼロ」、コカ・コーラの「檸檬堂」、そしてキリンの「氷結」に勝てるレモンサワーを生み出した。それが「未来のレモンサワー」だ。

再販を求める声が続出した「未来のレモンサワー」

同商品は蓋を開けると泡が立ち、輪切りのレモンスライスが浮かび上がるという、世界初の仕掛けが施された缶チューハイである。

6月11日にレモンスライスの調達などに制限があったため、1都9県での数量限定販売となったが、多くの量販店で売り切れが相次ぐなど人気が爆発。再販を求める声が続出したことと、8月27日に新たに材料確保などにメドが立ったことで再販された。

未来のレモンサワー
6月11日に、地域限定で発売された「未来のレモンサワー」。発売後3週間のうちに、各売り場で品切れ状態になった。希望小売価格(税込み)はオリジナル298円、プレーン298円と、RTDにしては高めだ(編集部撮影)

需要に供給が追いつかなかったアルコール飲料で思い出すのが、同社の「アサヒ食彩 生ジョッキ缶」である。これは2021年に発売された同商品も蓋を開けると居酒屋の生ビールのように泡が立つといった代物だ、コロナ禍で居酒屋が時短営業や営業自粛を余儀なくされているなか、消費者たちの「生ビールを飲みたい!」という期待に応えた結果、一時出荷停止となったほどヒット。

このヒット商品の技術を応用した未来のレモンサワーは、甘みのある「オリジナル」と、無糖のサワーを使った「プレーン」の2種類があり、輪切りのレモンはそのまま食べることもできる。

未来のレモンサワー
RTD商品としての新規性を一目でわかりやすく示すのが、レモンスライス。ふたを開けると、缶の底からゆっくり浮かび上がってくる。レモンをかじりながら飲んでもOK。ただし缶から取り出すために箸などが必要(編集部撮影)

そんな同商品で筆者が特に驚いたのは、缶を開ければレモンが出てくることではない。そのアルコール度数の低さである。

ご存じの通り、ストロング系は7〜9%という度数がデフォルト。よくいわれていることだが、500mlのストロング系に含まれるアルコール量は45mlであり、これはアルコール度数40%のテキーラに換算するとショット3.75杯になる。

それが、未来のレモンサワーのアルコール度数は5%。ビールと同じ度数であり、1月に同社が宣言した「健全で持続可能な飲酒文化を目指し、高アルコール商品の展開を控えることにした」という言葉を体現したような商品である。「負け惜しみだ!」と騒いでいた筆者が恥ずかしい。

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