1缶298円「未来のレモンサワー」脱安値化の適否 100円台のRTD市場に、アサヒの新戦力は定着?

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つまり、一部で話題のディストピア感を払拭するためには、リニューアルを繰り返せばいい。すでに味はお墨付きだから、あとは缶の中から浮かび上がるレモンに変革があれば、今後も消費者たちに愛される商品となる可能性はある。

とはいえ、298円にもかかわらず、「ディストピア」といわれてしまうのは、メーカー側からするとなんとも複雑な気分だろう。というのも、本当のディストピアのレモンサワーは、工業用アルコールのような味がするため、すでに市場に存在しない。

話題性・奇抜さ以外に求められるもの

ただ、繰り返しになるが、やはり未来のレモンサワーの脱安値化は、どちらに転んでもおかしくない。

というのも、300円あれば数十円足して350mlのストロング系を2缶購入することができる。500ml、1缶で満足できるのであればお釣りがくる。

8月27日に再販された「未来のレモンサワー」。6月には「品切れの際はご容赦下さい」という文言もあった(編集部撮影)

確かに、未来のレモンサワーは居酒屋のレベルに相当近づいたかもしれないが、コンビニで購入できるレモンサワーという土俵に立てば、そこには-196℃ストロングゼロ、氷結、檸檬堂をはじめとした歴戦の猛者たちがいる。悲しいかな。この円安の時代、安いに越したことはないのだ。

そして、その中にはサントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」など、すでに「居酒屋のレモンサワーに引けを取らない」という自負を持っている商品もある。つまり、本格的な居酒屋の味はすでに市場にあるのだ(そもそも、レモンサワーに泡は必要なのだろうか……?)。

その一方で、アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶が登場したときと違って、居酒屋も時短営業していないため、家での晩酌をラグジュアリー化することはできる。ただ、これは偏見だが、レモンサワー好きが高い酒を飲んでいるのを見たことがない。あと、気の利いた店でないと、レモンサワーにレモンスライスが入っていない気もする。

そのため、これから未来のレモンサワーに求められるのは話題性・奇抜さだけではなく、「298円」という「高値」でどうやって戦っていくかということだろう。同商品の今後の展開がRTD市場のメルクマールとなることは間違いない。

千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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