1缶298円「未来のレモンサワー」脱安値化の適否 100円台のRTD市場に、アサヒの新戦力は定着?

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なお、現在の同社の主力RTDは「贅沢搾り」「樽ハイ倶楽部」「ザ・レモンクラフト」だが、他社製品と比べると、売れ筋商品とは到底いえない。また、前出のアサヒ GINON以外のアサヒ グレフルマニア、アサヒ まろハイ、アサヒ 横丁ダルマサワーはそれぞれ地域限定商品(アサヒ GINONは4月から全国販売されている)のため、どれだけのシェアを誇っているのか、イマイチ掴みきれない。というか、ハイリキと贅沢搾り以外、これまで同社で売れたRTDはないのだ。

そのような懸念点もあるため、未来のレモンサワーの定着化には疑問符がつく。こんな言い方をすると元も子もないが、ストロング系に限らず、RTDは安いに越したことはない。もう誰も「現実逃避」のために、ストロング系は飲んでいないと思うが、それでも298円出して缶のレモンサワーを飲める者たちはきっと居酒屋に行くだろう。

SNS上では「ディストピア感」が話題に

もちろん、それ以上の満足度を得られるのであれば、未来のレモンサワーの定番化もなくはないだろう。同商品が技術を応用したアサヒスーパードライ 生ジョッキ缶と比較して考えてみよう。

アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶は従来のビールよりもほんの少し量が少ないとはいえ340mlで231円、500mlで302円と、同社が販売しているビールと値段はほとんど同じだ。この値段設定だからこそ、一過性のものではなく、今もしっかり定番商品として生き残っているのだ。

また、未来のレモンサワーは人気が出た当初、その見た目と名前のせいで「ディストピアの娯楽」とSNS上で揶揄されてしまった。というのも、缶の中に薄くスライスしたレモンが入っていることが逆に、SF映画などでよく見かける、文明が崩壊した近未来に配給される、見栄えの悪い無機質なワンプレートに付属する飲み物に見えるというのだ。しかも「未来」という名前もそこに拍車をかけている。

とはいえ、味は保証されているため不満の声は出ていない。一方でこのようなネタ消費をされてしまうと、定番化から遠のく危険性がある。近場のスーパーやコンビニで見かけたら試しに買ってみて、「ディストピア」と絡めてX(旧・ツイッター)に投稿する……。よほど、その味に魅了されなければ、二度目の購入はないだろう。

ただ、これに関しては改良の余地がある。というのも、アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶は生産体制を整えるために何度かリニューアルされている。基本は蓋を開けたときの泡立ちの改良だが、そのおかげか成分は変わっていないものの、ずいぶんと店の生ビールに近づいた。

筆者自身、販売当初は「なんだこれ? おいしくない」と思ってしまい、その後は購入しなかったのだが、2度目のリニューアルを機に再度飲んだところ、「ここまで変わるのか……」と驚愕してしまった(残念ながら筆者は2022年を最後に飲めていないため、現在の味の分析はできていない。理由は大量飲酒で「γ-GTP 2420」を記録してしまいドクターストップがかかったからだ)。

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