当然、誰が新首相になるかで3氏の明暗も分かれるが、なお混迷が予想される今後5年前後の政局展開をにらむと、岸田氏にとって、麻生、菅両氏との年齢差が「大きなプラス要因」(政治ジャーナリスト)となることは間違いない。5年後でも72歳の岸田氏に対し、菅氏は80歳、麻生氏は89歳という「引退必至の高齢」(同)となるからだ。
加えて、麻生氏が率いる麻生派は、総裁選で支持候補がバラバラの分裂状態で、菅氏の率いる「菅グループ」内でも足並みの乱れが目立つ。これに対し岸田氏は、自らが率いてきた旧岸田派を「決選投票」で完全にまとめられれば、その後の権力闘争で“1強”になる可能性がある。
だからこそ、岸田氏は自ら解散した旧岸田派の“実質的領袖”にこだわり、「総裁選後の林氏への代替わりの先送りを画策している」(派幹部)とみられているのだ。
岸田首相が最後の役員会で語ったこと
その岸田氏は、総裁選告示に先立ち現陣容での最後となった9月10日の党役員会で、3年間の政権運営について「歴史の分岐点とも言うべき大きな時代背景の中で数々の難局に向き合った3年間だったが、粒々辛苦の努力を重ね、成果を挙げることができた」と回顧し、各役員の協力への謝意を表明。
これに対し麻生氏は、岸田氏による日韓首脳会談や原子力政策の推進などを取り上げて労をねぎらうとともに、「さまざまな問題を十分に解決できる能力は圧倒的に自民党にあると確信している」と強調した。
ただ、この岸田、麻生両氏に菅氏を加えた「現・前・元首相」が、大乱戦の総裁選での「勝ち馬」探しに頭を悩ませているのは「党内周知の事実」(自民長老)でもある。
3氏とも「キングメーカーとして新政権での影響力行使を狙っている」(同)のは間違いないが、「その重要な場となる決選投票で、派閥解消を受けてそれぞれの配下の議員達が、“親分”の指示通りに動くかが見通せないことが3氏の“悩みの種”」(同)とみる向きが多い。
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