各陣営が反発している高市氏が送付した政策文書問題でも、河野陣営はあえて抗議文を出さなかったため、党内では「麻生氏が決選投票で派として高市氏を支持する布石を打ったのでは」との憶測も広がる。それも踏まえ、麻生派内では「親父(麻生氏)は高市氏が上位2人に入った場合は、決選投票で勝負を懸けるつもりだ」(幹部)との声が出ている。
これに対し、岸田氏も総裁選告示以来、連日のように旧岸田派議員らとの情勢分析に腐心している。岸田氏にとって、今回の総裁選への対応は「党実力者としての影響力維持・強化への試金石」(側近)となるからだ。
最側近とされる木原誠二幹事長代理らは小泉陣営入りして注目される。岸田氏周辺は「岸田さんはあえて黙認しているが、本音では『木原君の将来がなくなりかねない』と考えている」(派幹部)と岸田氏の複雑な心境を解説する。
最後の訪米で存在アピール
その一方で、ここにきて岸田氏自身は秘書官らに対し「総辞職の直前まで、首相としての職務に万全を期す」と繰り返し、連日の多忙な日程にもかかわらず「体調維持に余念がない」(官邸筋)とされる。その岸田氏が「首相としての最後の晴れ舞台」(同)と位置付けるのが21日から24日までの訪米だ。
21日午前に裕子夫人を伴って政府専用機で訪米の途についた岸田氏は、まずアメリカのバイデン大統領の地元・デラウェア州での日米首脳会談に続き、日米豪印の4カ国の枠組み(クアッド)によるクアッド首脳会合などに出席。
続いて現地時間22日昼前にニューヨーク入りし、23日未明に地球規模の課題などを話し合う国連総会での「未来サミット」での演説で、安保理改革への行動を呼びかけるとともに、法の支配に基づく国際秩序の重要性や核兵器廃絶に向けた取り組みの推進を訴え、24日午後帰国する。
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