台湾、第2のTSMC目指すベンチャーが群雄割拠 激変した資本・技術・市場の今を投資家が語る

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インフルエンサー・マーケティング支援のアイカラ(iKala)も日本での事業展開を強化。化粧品メーカーなど多くのクライアントを獲得したほか、伊藤忠、クラウドファンディングプラットフォームMakuakeと提携し、日本製品の台湾販売事業を手がけています。

BtoCではクラウド・ヘルスケアプラットフォームのHealth2Syncが2017年に日本に進出。わずか1年で日本最大の糖尿病管理アプリの座を獲得し、SOMPOホールディングスの出資も獲得しています。

消費者向けサービスも日本に重点

デザインアイテムの越境ECプラットフォームのピンコイ(Pinkoi)もすでに日本市場でのマーケティング、決済・物流インフラの整備に10億円以上を投資するなど積極的です。現在、Pinkoiにとって日本市場はもっとも早い成長市場で、2021年から2023年にかけての3年間は毎年20%以上の成長を記録しています。

台湾最大のオンライン学習プラットフォームのハハウ(Hahow)も日本を海外進出の重点市場と定めています。個人クリエイターが有料動画レッスンを公開できるプラットフォームはいくつもありますが、ハハウはクラウドファンディング機能がある点がユニークです。講師は「こんな動画作ったら買ってくれる?」と提案し、一定数の購入者がいるとわかってから実際に制作を開始できます。

日本市場に進出する台湾ベンチャーも多いですが、それ以上に目立つのが台湾企業に投資する日本ベンチャーキャピタルの多さです。ジャフコ、ヘッドライン、ソフトバンクなどの大手ベンチャーキャピタルはこの数年、台湾ベンチャーへの投資を大幅に増やしています。彼らは資金だけではなく、日本進出のノウハウも提供しており、台湾ベンチャーが日本市場に進出する頼もしい手助けとなっています。

ここまで台湾ベンチャーの飛躍について、資本、人材・技術、市場という3要素から見てきました。最後の市場の項目で述べたとおり、台湾と日本のベンチャーエコシステムには相補性があり、双方にメリットがあります。この相補性に加え、政治的にも日本と台湾は歴史上、もっとも親密な関係にある点も追い風です。ですから、日台のベンチャーエコシステムが今後、多くのビジネスチャンスを生み出すと確信しています。

高口 康太 ジャーナリスト

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たかぐち・こうた / Kota Takaguchi

ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国の政治、社会、文化など幅広い分野で取材を続けている。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)、『中国「コロナ封じ」の虚実』(中公新書ラクレ)。

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