一青窈さん「デビュー前から慈善活動」続ける理由 「歌がその人を元気にすると信じているから」

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――いろいろな気付きもあるということですか。

一青:あります。例えば、チャリティライブではリクエストを募っているのですが、それは子どもだからといって、「アンパンマンの歌がいい」とは決めつけず、「K-popがいい」というかもしれない。

リクエストを募っているうちに、「世の中で求められている歌」や「病気になったときに求められるのは、どんな歌だろう」というのが見えてきて、勉強にもなっていて。

「なぜこうもアンパンマンは、みんなに愛されるんだろう」とか、「『上を向いて歩こう』はみんな好きだな」とか、「軍歌は戦争を思い出すから嫌なのかと思っていたら、思い出として聴きたくなる人がいる」とか、いろいろなことに気付かされるんですよね。

一青窈
神奈川県立こども医療センター肢体不自由児施設でのライブ終了後の集合写真。同院の黒田達夫総長は「みんなで一緒に感動できた時間でした。温かい会でした」と話した(撮影:村上 健)

あなたのために歌う1秒がある

――それもあって、チャリティライブはライブ(生演奏)にこだわっているんですね。

一青:それは、「あなたのために歌う1秒がある。それが、その人を元気にする」と信じているからです。生身の人間が目の前で命を燃やして歌うことで、そのエネルギーが聴く人に伝わり、それが「リハビリでこの指も動くようになったよ」とか、「手術を受けられるようになった」とか、につながるといいな、と。実際、そういう話を聞くこともあります。不思議ですよね。

大学時代のライブで得た感覚が忘れられないこともあります。当時、耳の聞こえない人たちに膨らませたコンドームを渡して、その振動で音楽を楽しんでもらったことがあって。そのとき、みんながリズムに合わせて、コンドームを振り回して足でバンバン音を鳴らしてくれたんです。このとき、「伝わった感覚」をつかみました。

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