この家で生まれ育った90代の男性は、働きに出た後、今から20年前に再びこの屋敷へ戻ってきた。男性の両親もこの家で生まれ育ち、亡くなるまで暮らしていたという。
今回、イーブイに依頼をした男性の娘まで入れると、実に4世代分のゴミやモノが溜まっていることになる。現場にいた二見氏も、「この家はホンマにモノの量が尋常ではなかったです」と振り返る。なぜ、これほどまでに物量が増えてしまったのか。
「自分がこの家に戻ったときに、古いモノは捨ててしまえばよかったんだけど、家が広いもんだから“押し込め、押し込め”というふうになってしまったんです。そのとき方々に住んでいた兄弟たちの家も狭くてね。『荷物を置く場所がないから、置いておいてくれ』と言うもんだから、さらに量が増えてしまった」(住人の男性)
納屋に押し込まれているモノはほとんどが不要品だ。かろうじて手前にあるモノには手が届くが、奥にあるモノに関してはもう何十年も放置されたままだ。男性ですら一体何が眠っているのかわからない。
納屋のとなりにある2階建ての離れは、床にもホコリがかぶっていて、長年使われていないようだ。1階、2階ともに、使わなくなった大型家具がホコリをかぶった状態で並べられている。
「隠し扉」の先にあったもの
玄関の扉を開けて家に入ると、土間には土のかぶった壺やスーパーマーケットのカゴが積み上がっていて、その中にも不用品が投げ入れられている。台所には大きな食器棚が3つ。そのぶん使っていない食器類も相当な量で、おせち用の食器まで一式しっかり揃っている。
和室はふすまで仕切られていて、すべて開放するとかなり広い空間になる。布団や座布団の数がとにかく多く、ちょっとした旅館くらいある。
作業を進めていると餅つき器まで発見した。昔は親戚中がこの屋敷に集まって、正月などのイベントごとを祝っていたという。しかし、今はその機会もすっかりなくなり、モノだけが残ってしまった。
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