財務省は、こんごう型の後継となるイージス艦のレーダーとして、コスト増大が想定されるSPY7を前提にするのではなく、「白紙的に検討する」ことを防衛省に求めることで、SPY6レーダーの採用も改めて視野に入れるよう防衛省に釘を刺したとみられる。
なぜならば、大きな理由としては、日米同盟強化の方針下でアメリカ海軍との相互運用性が求められる中、仮にこんごう型後継艦にSPY7を採用することになればコスト減に向けたスケールメリット(規模効果)が働きにくくなる可能性があるからだ。
また、ASEVの構想から廃棄までの総費用「ライフサイクルコスト」について、防衛省は「アメリカなどと調整し、詳細な金額の積算を進めているところであり、具体的にお答えできる段階ではない」と述べるにとどまっている。
相互運用性やコスト面でどれだけ有利か
レーダーの高性能は保証付きでも、相互運用性やコスト面でどれほどの優位性を説得力を持って示されるのか。LMにとって正念場となる。
このこんごう型後継艦用のレーダーの選定は、日本企業にも大きな影響を与えそうだ。三菱電機は2024年7月、RTXと供給契約を結び、SPY6の基幹製品である電源装置を納めると発表した。海自がSPY6を採用すれば受注増が見込まれる。
その一方、LMは「将来の艦艇向けSPY7レーダーの維持と製造について日本の産業界と活発な協議を行っている」と説明する。三菱重工業などにライセンス生産を認め、勝機を見出す可能性もある。
LMの今回のプレスツアーの3つ目のポイントは、コンテナ型のMk.70 PDSといった垂直発射装置など新たな防衛装備品や、ソルーションといわれる総合防衛サービスの売り込みだ。
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