ASEVに搭載されるSPY7レーダーの正式名称はAN/SPY-7(V)1レーダー。VはVariant(派生)の頭文字だ。その派生モデルとして、スペイン海軍の新型F-110型(ボニファス級フリゲート)に搭載するAN/SPY-7(V)2とカナダ海軍の次期水上戦闘艦CSC(リバー級駆逐艦)に搭載するAN/SPY-7(V)3がある。
LMは、日本のASEVも、アメリカのLRDRも、スペインのF-110型も、カナダのリバー級駆逐艦もすべて、SPY7が発する電波の周波数が無線LANなどに使われるSバンド(2ギガ~4ギガヘルツ)であると説明。さらにこれらのすべてのプログラムが共通のSASを使用していると強調した。
LMは「日米加西の4カ国は、SPY7という共通製品へのアプローチによってコスト削減のための恩恵を受ける」とアピールした。
海自イージス艦の後継
LMがここまでしてSPY7レーダーの高性能や拡張性をアピールするのには理由がある。それが2番目の大きなポイントだ。退役時期が迫るこんごう型イージス艦の後継艦に、アメリカ・RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)のSPY6レーダーか、あるいはLMのSPY7レーダーのどちらが採用されるかに注目が集まっているからだ。両社にとってここ1、2年が売り込みの山場となろう。
海自は現在、こんごう型4隻、あたご型2隻、まや型2隻の計8隻のイージス艦を有している。こんごう型1番艦のこんごうは2024年3月ですでに艦齢が31年、2番艦のきりしまが29年、3番艦のみょうこうが28年、4番艦ちょうかいが26年に達している。
海自護衛艦では、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)のひえいが36年4カ月の最長の就役期間を記録したので、こんごう型の寿命は確実に迫っている。
2022年12月に閣議決定された防衛力整備計画の別表3(おおむね10年後)には、イージス艦が10隻整備されることになっており、現有の8隻より2隻増える。
防衛省は8月末、2025年度防衛予算の概算要求で、こんごう型イージス艦の除籍に伴う後継艦などを検討するための技術調査費用として33億円を計上した。
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