「もう時代後れ」日本の株式会社が見失ったもの 優秀な社員たちの解放が必要な真っ当な理由

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ところが、実際はどうだろうか。

だが、残念ながら、日本の多くの会社は、そのシンプルな原則が成り立っていない。大企業の多くが、優秀な人材をかき集めながら、その潜在能力を埋もれさせている。
だから、私はそのような会社に、社員の解放を迫りたい。
現場の社員たちが互いに刺激し合い、熱意を持って日々の仕事にのめり込める、そんな企業社会の到来を少しでも早く実現したいと思っている。
(「序章 会社消滅」より)

これを読んで、「著者は熱い人なんだな」と感じられる方は、もしかしたら、時代と逆行した現代の日本企業のあり方に毒されてしまっているのかもしれない。

トップに行くほど「ヤバイ」

なぜなら著者は、しごく真っ当な主張をしているにすぎないからだ。

個人(特に若い人)が、自分の特徴や能力を存分に発揮していく。組織はそのサポート役として支える。その成果が、顧客や周囲の人々に喜びと感動を与える。
つまり、会社とは、個を光り輝かせる「舞台」であるべきなのだ。
(「序章 会社消滅」より)

しかし現状において、その舞台はお粗末なものになっているケースが少なくない。そこで本書においてはそれらを「ヤバい会社」と定義し、そのヤバさを明らかにしている。

ちなみにそれらの情報の多くは、自社の「トンデモな状況」を冷静に見つめている社員からもたらされたものである。

納得せざるをえないのは、組織ピラミッドの上に行くほど「痛い行動」をしているという自覚が薄くなっていくという指摘だ。

とくにトップとなると、非常に問題が多いという。権力を持った(と勘違いしている)経営者や上司ほど、「裸の王様」状態になっているというわけで、いわゆるワンマン経営者がまさにそれにあたるだろう。

無茶苦茶な社内ルール

たとえば、著者のもとに寄せられた50代会社員Aさんからの投稿にある次のケースがまさにそれだ。

なんでも、Aさんが勤める会社は盛和塾にハマった創業者が経営する「変な上場会社」で、「無茶苦茶な社内ルール」がたくさんあるというのだ。

いうまでもなく盛和塾は、京セラ創業者の故・稲盛和夫氏が、若手社長に経営哲学を教えるため1980年代に発足させた勉強会である。

その影響力は国内のみならず世界的に広がり、2019年に閉塾するまでに2万6000人もの経営者が「塾生」として学んだという。

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