「もう時代後れ」日本の株式会社が見失ったもの 優秀な社員たちの解放が必要な真っ当な理由

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きっかけは、祖父の言葉だったという。

かつて銀行で再開発事業を手掛けていた石川社長が、「お前、どういう仕事をやってるんだ」と聞かれ、自分の仕事について話すと、祖父から「君がやっていることは破壊だよ。開発じゃねえよ」という返答があったというのだ。

時代は逆開発だ!

そこで、祖父の死後に社長の座に就いた石川社長は、「逆開発」という方針を打ち立てる。それが、現在にまでつながっているということだ。

たしかに視点を変えてみれば、それまで見えていなかったことが見えるようになったりもする。それこそが著者のいう、「若い人が中心となって、個人の能力を存分に発揮する企業」のあり方なのではないか。

これまで経済の主流は株式会社だった。だが、この制度はすでに時代との齟齬をきたしている。
現場で働く人と、株主や取締役との間にできた溝は、広く深い。
株主は経営陣に対して「利益の最大化」を求める。その命を受けた社長と取締役は、社員に「前年より利益を増やせ」と号令をかけ、売上が不調ならリストラ策によって利益を絞り出し、神(株主)に上納する。
その見返りとして、社長や取締役は巨額の報酬やストックオプションを手にする。
(230ページより)

だが、こうしたあり方が現代においてはまったく適したものでないことは、誰の目にも明らかだろう。

だからこそ、企業は「未来型組織」に変貌する必要があると著者は主張するのだ。いまの会社を、個を中心として組みなおす必要があるということである。

そこで目を向けるべきが、東京大学教授の柳川範之氏による定義だ。次代の「会社」を、「人と人がインタラクション(相互作用)する場所」にすべきだという考え方。

そして興味深いのは、それを音楽にたとえている点である。

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