15年ぶりに全線開通「阿里山林業鉄道」車両の中身 災害や資金難を乗り越え、再始動までの道のり

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自然災害の多い地域に作られた阿里山鉄道は、災害の被害にたびたび遭った。

2009年8月、台風8号が阿里山を襲い、48時間で、2361mmの雨量を記録。世界記録(2493mm:1995年インド・チェラプンジ)に匹敵する量が降り続いた。阿里山鉄道は421カ所で土砂災害のため不通となり、長期にわたる運休を強いられた。

2015年に復旧作業の見通しがつき全線開通が実現すると思われた矢先、阿里山鉄道は再び台風に襲われる。

大規模な土砂崩れの発生で線路下の基礎部分が流失し、本線の約4分の3にあたる区間運行を余儀なくされた。政府は復旧のため、23億台湾元(約113億860万円)を支出、新たにトンネルを掘削するなどの対応を進めた。

開通日は「ナローの日」

そして今年4月。「7月1日に全線開通予定」と発表されたが、6月の鉄路局の検査で不具合が指摘され、全線開通は7月6日に延期。座席が販売されたのは、全線開通の4日前。7月2日の午後2時だったが、7月6日から10日までの座席はわずか20分弱で完売となった。

なお、開通日となった7月6日は奇しくも日本では「ナローの日」。ナローとは「ナローゲージ」のことで、ゲージ(左右のレールの間隔)が国際標準の1435mmよりも狭い(ナロー)鉄道のこと。日本の鉄道では、JRが採用している1067mmよりも狭いゲージの鉄道を指す。

日本語が堪能な台湾の鉄道ファンがこのことをSNSに投稿すると、762mmゲージの阿里山鉄道の復活を祝うのにぴったりだ、と台湾の鉄道ファンの間で大いに盛り上がった。

阿里山鉄道
阿里山鉄道と切符。改札時は昔ながらの入鋏(にゅうきょう)がある(写真:筆者撮影)
阿里山駅
阿里山駅。現在の駅舎は2007年9月に完成した(写真:筆者撮影)
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