226kmを走破「世界一超人の91歳」その驚く肉体 20年間食べ続けてきた「食事メニュー」を公開

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これが基本の練習メニューだが、バイクの練習では地図を見ながら初めての土地を走ったりすることもある。

「バイクを100km以上走る日は、自宅を出発して帰ってくるまで5時間以上かかるんです。僕はペースが遅いし、途中で好物の鰻を食べるために寄り道したりもするからね(笑)」

雨の日はランとスリップする危険があるバイクは中止。ランの代わりに傘をさしてウォーキングをする。「のんびりできない性格」に加えて、「雨だから休養」という発想もないのだ。

クラブ合宿は、さらにハードだ。バイクの練習では180kmという長距離を走る。稲田さんは学生からオリンピック選手までさまざまなトライアスリートと一緒に、雨や風や雪などの天候に関係なく、ランやバイクの練習をこなさなければいけない。

「悪天候の日はそれに適応した走り方をすることがトレーニングになるんだけれど、真冬の雨や雪の日は寒くて寒くてどうしようもない。足はつりまくるし、ただただつらいです」

老後はゆっくり暮らしていきたいという人も多いだろう。ここまで自分を追い込むのは、それだけ得られるものや達成感があるからなのだろうか。

稲田さんは「そんなの、ないよ」と即答する。

「練習がハード過ぎて、走り終わったあとは『やっとこれで寝られる』としか思わない。でも、僕にはこれしかやることがないからね

稲田弘さん
2024年、オーストラリア・ケアンズで行われたトライアスロンの大会に参加した。積極的に海外遠征をしている(撮影:山本淳一)

91歳の超人的な肉体を作る「驚きのメニュー」

トライアスロンを始めて3カ月後、最愛の妻を看取った。稲田さんが70歳のときだ。それから、より深くトライアスロンに没入していく。理由は2つ。

「結局それしかやることがないということと、トライアスロン自体が楽しいことだったから」

当時は70代でトライアスロンの大会に出場する人は誰もいなかったという。だから大会側が稲田さんのために「高齢者賞」や「特別賞」などを設け、トロフィーも授与された。年下の選手たちに讃えられ、大会で再会する仲間も増えていった。

稲田さんは、妻が亡くなって以降、ずっと一人暮らしをしている。孤独とも違うが、趣味の合う妻と山登りや旅行を楽しむ時間がなくなり、今は目の前のことに打ち込むことで日々を充実させている。

もちろん、持ち前の探究心が「自分がどこまでいけるのか」を突き詰めるに至ったということもあるだろう。それが顕著に出ているのが、毎日自分で作っている食事だ。

トライアスリートはレースで使う体力に見合っただけの栄養を取らないといけないーー。これが稲田さんの確固たる食事のポリシーとなっている。

稲田弘さん
NHKの記者時代も単身赴任をしていたため、料理はお手のものだ(撮影:風間仁一郎)
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