「70歳を過ぎてもデート楽しい」中尾ミエの恋愛観 若い頃は、もっと「よれよれ」だと思っていた
和田 本人が幸せだと思っていればそれでいいのに。日本に限ったことではないと思いますが、周囲からの制約や縛りが多い。年を取れば取るほど、そういう縛りを減らしたほうがいいですよ。会社にいればそれなりのルールがあるし、子育ての最中にはママ友的なルールがあったりして、そこはある程度、社会生活を送っているわけですから。
我慢したとしても、もう60代以降はそういうことから解放される年齢ですしね。それなのに、親戚や子どもに縛られていたらたまったものではありません。
認知症の予防には、「新しい人」と出会うこと
和田 私が若い頃に勤めていた浴風会病院は、今は自由に入院できますけれども、そもそもが身寄りのない老人が入る施設として始まりました。だから、入所者が亡くなると、基本的には解剖していたのです。
我々が最後まで一生懸命面倒を見て、自分が生前に行った診断が本当に合っていたのか、解剖すれば答え合わせができるわけですよね。そのとき、初めてリアルな死因がわかる。
そうした入所者・患者さんのご家族のなかでも、ずっと通われてそばで付き添ってこられた方たちは、我々がかいがいしく面倒を見てきたことを知っているから、亡くなった後に、本当の死因が知りたいから解剖させてほしいと頼んでも大概はOKしてくれます。
ところが、生前にはまったく来たことがない子どもとかが突然やってきて、そういう人に限って「うちの親に傷をつけるな」と言って解剖に反対するんですよね。そんなに大事なら、生前にもっと会いに来てほしかった。
それと、アンチエイジングや認知症予防として、なるべく新しい人と出会って、いろいろと刺激を受けるのがいい。そんな話をしてきましたが、他方で、今、独居老人の問題もある。
1人暮らしの老人が心配だと世間は言いますし、孤独を寂しいものとしていやがる風潮もあるかもわかりませんが、人間、独りでいたいときだってありますよね。
私が特別、孤独が好きなのかもわかりませんが、人と会いたいときは会いに出かけて、独りになりたいときは家でのんびり過ごせばいい。そうやって孤独を尊重しつつ、みんなで暮らせればいいですよね。それがごくごく自然なことだと思う。