子供に「大人みたいなアレルギー」が増えている訳 「食物アレルギー・花粉症」低年齢化の意外背景

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以前は、「ビワアレルギー」「モモアレルギー」など果物そのものが原因と考えられていましたが、実はそうではなく、シラカバなどの花粉への曝露やラテックス製品の使用が原因で、果物によるアレルギー症状が引き起こされていたということが解明されてきています。

子供に「大人のアレルギー」が増えてきた理由

食物アレルギーは、大人と子供で違いがあります。例えば、小麦アレルギーは、大人にも子供にもありますが、牛乳と卵は、大人での新規発症は極めて少ないです。

鈴木慎太郎氏
鈴木慎太郎(すずき・しんたろう)/医師・医学博士。昭和大学医学部医学教育学講座・准教授。アレルギー指導医として昭和大学病院(東京都)で食物アレルギーやアニサキスアレルギーを中心に診療している。アレルギー専門医の教育事業にも従事している。著書『解いて学ぶ! 「おとな」の食物アレルギー:思春期~成人の食物アレルギー43のCase Study』『内科×皮膚科 解いて学ぶ! 「おとな」のアレルギー:魂のクロストーク37のCase Study』(ともに文光堂)。「昭和大学リカレントカレッジ」にて社会人向けのリカレント教育も行う(写真:著者提供)

理由はまだはっきりわかっていません。牛乳や卵には、アレルギーを誘発しやすい成分が多く含まれていますが、子供は免疫システムが未発達で、それらがアレルゲンになりやすいのでは、と考えられています。

また、子供の生活範囲は、学校、家、塾と限られており、子供は食べるものの種類が限定的ですが、大人は、会社、家、出張先とさまざまで、いろんな店でいろんなものを食べています。

大人の場合は、子供に比べてアレルギー症状もかなり多彩で、お腹が痛い、だるい、頭痛などの訴えで来院することもあります。

運動、飲酒、ストレス、過労、女性の月経前の状態などがアレルギーを誘発し、増長しやすくする傾向も経験上わかっており、大人の場合は、そういった点でも特殊性が見られると考えられます。

一方、最近では、本来「大人に多いアレルギー」が子供にも見られることが多くなりました。

それには、生活の多様性が関わっています。かつては、子供に生魚を食べさせることはあまりありませんでしたし、エビやカニを生で食べるような高級店に子供を連れていくことも稀なことでした。

しかし、今は、回転寿司店へ赤ちゃんを連れていくご両親がたくさんいます。冷凍技術の革新や流通の拡大によって、ファミリーレストランなどで、かつて乳幼児期には口にしなかったものを食べさせるようにもなりました。

将来的に、過去には起こらなかった食物アレルギーが増えてくる可能性はあるでしょう。

大きな問題は、花粉症とアレルギー性鼻炎の低年齢化です。花粉症は、かつては大人の病気でした。ところが、私の子供は保育園の時から花粉症です。花粉によって引き起こされる食物アレルギーも、子供に増えてきているのではないか、と考えられています。

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