一方、学校に通う子供たちを対象にした調査では、6つの主要なアレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、花粉症、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー)の中で、唯一、喘息だけが減少する傾向にあります。気流の変化や、環境対策、企業や自治体の努力などいろんな要因があると思いますが、時代の変遷によってアレルギーの種類も変化しているのだと思います。
日本に多い「アニサキスアレルギー」
アレルギーは、アレルゲンが人の体内に何度も何度も入ってきて、IgE抗体ができる「感作」が成立して発症しますが、感作するアレルゲンには地域性や個人差があります。
例えば、日本の花粉症は、スギがメジャーな原因ですが、欧米では、他の樹木や雑草の花粉がメジャーです。
食物アレルギーも、地域ごとの食志向によって原因の違いがあり、なかでも、寿司や刺身をよく食べるため、日本人にはアニサキスアレルギーがかなり多いのではないか、と考えられるようになってきました。
国立感染症研究所の統計によれば、生きているアニサキスという寄生虫が、胃や小腸に突き刺さってしまう「アニサキス症」の新規患者数は、毎年2万人ずつ増えていると試算されています。
一方、アニサキスアレルギーは、アニサキスが原因ですが、アニサキスの生死にかかわらず引き起こされるものです。昭和大学病院でも、以前は、30~50代の患者がメインでしたが、近年は10代、20代の患者も増えています。
増えてきた要因は、1つには、日本特有の食文化として、魚介類を冷凍せずにそのまま食べるということがあるでしょう。他の微生物は加熱や冷凍といった処理で殺処理が施されるように法規制が進んだことにより汚染が減りましたが、アニサキスに対する規制は不十分なままです。
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