一方、地方の新規事業に関しては、近年「ビジネスプラン・コンペティション」(公開プレゼンなどで、新しいビジネスを評価する仕組み)もよく聞きます。これは、新規事業の提案を幅広く外部からも集め、それに支援をつけるという取り組みで、全国各地で行われています。
「ビジネスコンペ」が地域をつぶすメカニズムとは?
その多くは、地域で新たな事業を考える若者たちなどを集め、計画案をプレゼンさせ、審査委員が審査、お眼鏡にかなったプランには賞金や補助金が提供されるというものです。
一見すれば素晴らしい取り組みのようですが、そうとも言えません。審査委員は衰退している商店街の商店主や融資審査をしている地元金融機関の担当、自治体の商業政策担当、地元大学の先生、よくわからないコンサルタントなどが中心で、新規事業を自分で立ち上げ軌道に乗せてきた人たちではない場合が多くあります。
そのような人々が集まり、新規事業審査をして、その審査にどこまで意味があるというのでしょうか。
さらに困ったことに、こうしたコンペに参加する人たちも、実はコンペにおいて評価されても、評価されなくても、どちらに転んでも問題を抱えることになります。
まず、運悪く落選した人は、せっかく地域で挑戦しようと思っても、このプレゼンによって、挑戦する前から「あいつはダメな計画をたてたやつ」と烙印を押されてしまいます。
また、審査で評価された人たちも問題です。事実上、何の挑戦もしていない段階からプレゼン能力などで優勝賞金をもらったり、逆に初めて行う事業なのに最初から補助金漬けにさせられてしまうからです。
そもそも地域の新規事業で何が当たるなど、事前にわかるわけがありません。まずは始めてみて、それを軌道修正しながら成果を上げていくしかないのです。いちいち計画段階で「議論」すること自体がナンセンスです。
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