泉田知事vs規制委、原発事故対応すれ違い

「被曝前提では住民理解得られない」

初めて実現した、規制委の田中委員長(左)と泉田・新潟県知事の会談

新潟県の泉田裕彦知事と、原子力規制委員会の田中俊一委員長の面談が初めて実現した。泉田氏といえば、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所がある地元の県知事。福島第1原発事故後、「事故原因の検証・総括がないままでの柏崎刈羽原発の再稼働は論外」との立場を崩さず、再稼働を急ぐ東電の対応を批判してきた。

また、柏崎刈羽に限らず、住民の防災・避難対策が不十分なままでの原発再稼働はありえないと主張し、規制委に対しても住民の安全確保に対する考え方をただすため、以前から田中委員長に面談を求めていた。

8月24日、泉田氏は全国知事会の危機管理・防災特別委員会委員長として、現行の原子力災害対策に関する見直しの提言書を手渡すため、東京都港区の原子力規制委を訪問。ようやく、2人の直接面談が行われることとなった。

被爆してから…では住民守れない

泉田知事が特に強く要求したのが、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)を活用した、実効性ある住民避難の仕組みだ。

規制委が今年4月に改定した原子力災害対策指針では、原発事故時の住民の避難対策はSPEEDIによる放射線量の予測値ではなく、モニタリングポストの実測値を使用する方針が定められた。泉田氏は「被爆を前提に避難指示を出すことになり、住民理解を得ることは困難」と批判した。

また同指針では、甲状腺の被爆を抑える安定ヨウ素剤の事前配布は原発5km圏(PAZ)の住民に限定され、5~30km圏(UPZ)では緊急事態発生後にヨウ素剤を配布することになっている。泉田氏は、緊急事態発生から数時間以内にUPZの全住民(新潟県の場合は約40万人)に配布することは極めて難しいと主張。放射線量の実測値が上がってから配るようでは「被曝してから服用」することになり、住民の安全は守れないと訴えた。

次ページ事故が起きたら、誰が指揮をとる?
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • グローバルアイ
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 今見るべきネット配信番組
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
「人のために働く職業ほど低賃金」な根深い理由
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「説得力のある話ができる人」と「説得力のない人」の差
「説得力のある話ができる人」と「説得力のない人」の差
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
激動相場に勝つ!<br>株の道場

6月18日発売の『会社四季報』夏号が予想する今期業績は増収増益。利益回復に支えられる株価が上値を追う展開になるか注目です。本特集で株価が動くポイントを『会社四季報』の元編集長が解説。銘柄選びの方法を示します。

東洋経済education×ICT