「外に出たくもない」欧州の観光公害はもう限界 オーバーツーリズムに地元民ブチ切れ
ポルトガルの首都リスボンでは、狭い通りがトゥクトゥクと観光客でごった返し、この夏は家の外に出るのがためらわれたと話す住民もいた。
「まるで試合後のサッカー・スタジアムの外を歩いているよう。本当にごった返していて、近所の人がいても見分けがつかない」。そう話すのは、観光客向け賃貸宿泊施設があふれかえるようになったアルファマ地区に住むアン・カル(68)だ。「アパートから出たくない日もある」と言う。
あるリスボンの住宅関連団体は、住宅用の建物を観光客向けの賃貸宿泊施設にすることを禁じる住民投票を求める運動を開始した。同団体によると、地元議会にこのプロジェクトを提案するのに十分な署名が集まったという。
アムステルダムは「来ないで」キャンペーン
世界で最も観光客の多い都市の1つであるオランダのアムステルダムには、昨年2300万人という記録的な数の観光客が訪れた。パンデミック後、アムステルダムは、年間観光客数の上限を2000万人に設定するなど、一連の厳しい対策を導入した。
過去1年で、観光税は引き上げられ、クルーズ船の受け入れ数が制限された。今ではクルーズ船の市中心部への接岸は禁止されている。新しいホテルの建設は禁止され、観光客向け賃貸宿泊施設に対する制限も設けられた。
市はさらに、過度に酔っぱらって住民に迷惑をかけるという悪評が立っている18〜35歳までの粗暴なイギリス人男性観光客を主な対象として「Stay away(来ないで)」キャンペーンを展開、迷惑行為を厳しく取り締まるようにもなっている。
このオンラインキャンペーンは、法規を犯す可能性がある者に向けて、反社会的行為の結果として逮捕されたり罰金を科されたりする事態を動画で紹介するものだ。市はまた、路上でのマリファナの使用を禁止し、歓楽街でのアルコール販売を制限する措置も講じている。
(執筆:Ceylan Yeğinsu記者)
(C)2024 The New York Times
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