「外に出たくもない」欧州の観光公害はもう限界 オーバーツーリズムに地元民ブチ切れ

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別の場所では、地元住民が観光客の無礼な振る舞いや新しいホテル・別荘の建設に抗議する集会を開いている。観光客の受け入れ数に上限を設ける場所も増えている。例えば、ブルターニュの海岸沖にあるフランスのブレア島(住民はわずか400人)は最近、1日あたりの観光客数を4700人に制限した。

新型コロナウイルスのパンデミックで観光客のいない生活を味わった反動も、住民たちの不満の増大につながっている。旅行制限の解除とともに、ものすごい数の観光客が戻ってきたためだ。

夏の締めくくりに、オーバーツーリズムが限界を迎えた場所で何が起こっているのかを見ていこう。

アテネの建物には「観光客お断り」の落書き

この夏、多くの観光客が押し寄せたアテネは、水不足だけでなく、酷暑にも見舞われ、多大な負担を強いられた。ギリシャの各地で発生した山火事は、アッティカ地方の森林を飲み込み、アテネ郊外にまで広がった。

アテネでは7月、オーバーツーリズムに対する抗議運動が燃え上がった。建物には「観光客お断り」と落書きされ、住民たちは、観光客向け賃貸宿泊施設に近隣一帯を占拠されつつあるとして対策を求める声を上げた。

白壁の建物と夕日で有名なサントリーニ島は、昨年ヨーロッパでオーバーツーリズムが最も顕著だった観光地の1つで、人口1万5500人の島に350万人近くが訪れた。観光客の重要な交通手段となっているのがクルーズ船だ。ヘレニック港湾協会によると、800隻のクルーズ船が130万人の観光客を島に連れてきた。

最近では、島の自治体首長がソーシャルメディアへの投稿で、7月24日に到着するクルーズ船の1万1000人を超える乗客を受け入れるため地元住民に移動を控えるよう求めたところ、地元住民の激しい怒りを買った。

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