買い物で「いい商品」を自然に選択
フィンランドの家庭に滞在中、買い物に行くと、いつもどきどきしていた。家族は「いい商品」を自然に選択するのだ。環境によいもの、動物の権利に配慮しているもの、倫理的なものーー。特別意識が高いわけではなく、声高にサステナビリティを唱えるのでもなく、自然にそちらに手が伸びるというか。
理由を聞くと、ちょっと考えながら説明してくれるけれど、論理的に考えて吟味して選んでいるというよりも、「だってこっちのほうがいいよね?」というくらいさらりと決めているように見えるのだ。
湖に囲まれたフィンランド東部に住むこの家族は、夫婦ともに獣医で、3人の子どもたちは小学校から大学まで皆公立の学校に通っている。特別豊かでも貧しくもなく、フィンランドに住む他の人たちと同じくらい森が好きで、よくベリーやきのこを摘みにいく。そんな家族だった。
野菜や穀物はできるだけ近隣で生産されたものを選ぶ。「多少高いけれど、農業は国土と風景を作るものだからね。私はフィンランドの風景が好きで、美しいライ麦畑がずっと続いてほしいから」。


















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