台湾の大富豪はなぜ球団経営に夢中になるのか プロバスケ球団をめぐる金持ちたちの遊戯

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しかし、張嗣漢氏がこう指摘する。

「合併はバスケにとっていいことだ。しかし彼らのやり方(王文祥の合併に関する記者会見を指し)は、あまりに唐突だ。細かい部分のケアがまったくなされてなく、マイナス面ばかりが目立ってしまった」

時間を少し戻して6月13日には、富邦と璞園をはじめとするPLG球団が温めてきた合併案があった。「PLGを開放して加入を促進する」とした覚書だ。

この中には「同一都市内の競業制限条項」があり、新球団がPLGに加入するにあたり、仮にすでにある球団がホームグラウンドとしていた場合、その球団の同意を得なければならない。また、新球団がPLG加入するにあたっては、加入金として5000万台湾ドルを支払わなければならないとある。

この合併案の裏には、明らかにPLGがT1を吸収するようなスタンスで作られていたと言える。PLG側は昨季、47万人以上を動員し、T1の27万人を圧倒していたからだ。大会社や大きなリーグが小規模会社や小さいリーグを合併するような、一般的な考え方によるものだった。

破談を引き起こした外国籍学生の入団問題

しかしT1側が出した数字は少し違っていたのだ。第2、第3シーズンの平均来場者数を見るとT1の方がPLGよりも高かったのである。「しかもPLGの平均来場者数は徐々に少なくなっている」との結論だった。

T1球団のある株主代表によれば、「試合の盛り上がりを比べたら、どちらの方が優っているか一目瞭然だろう」と語る。

6月24日、新リーグ実行準備委員会が発足し、2日後の26日には11球団が合同で合併に向けた決議を発表。台湾プロバスケットボール界はいよいよ1つにまとまるかに思われた。

紆余曲折があった新リーグ構想だったが、26日発表のニュースリリースでは、「両リーグ合併後、将来の実務では11球団共同で進める。公平公正の原則の下、ともに実務を行い、社会やファンの皆さまの期待に応えたい」とあった。

しかし、富邦と璞園もこの合併の輪にいたが、実際には離反のチャンスをうかがっていたのである。

新リーグでは「外国籍学生入団制度廃止」を目玉政策としたのだ。PLGの規定では各球団は1人外国籍学生を登録でき、外国人選手とはカウントされないことになっている。外国籍の大学生が台湾留学後、この身分でプロ入りし台湾に残る学生が一定数いるのだ。しかし新リーグでの「廃止令」によって、世論などの風向きが変わったのだった。

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