台湾の大富豪はなぜ球団経営に夢中になるのか プロバスケ球団をめぐる金持ちたちの遊戯

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新竹御頂ライオニアーズは、先日、株主の背信などによる訴訟騒ぎを起こしているが、UMC聯華電子の宣明智名誉会長や地元新竹のディベロッパー陳美玲会長らがバックアップを明言。中国資本参入疑惑と経営難の高雄スティーラーズを除けば、ほぼすべての球団で台湾経済界の雄が集う状況にあるのだ。

P. League+(6球団→4球団、TPBLへ3球団)
・富邦ブレーブズ:富邦金融グループ、蔡明忠・蔡明興、1.2兆台湾ドル(→PLG)
・桃園璞園パイロッツ:璞園建築、李忠恕、192億台湾ドル(→PLG)
・新北キングス:国王祥華投資、王文祥、33億米ドル(→TPBL)
・フォルモサドリーマーズ:海碩グループ・ダイヤモンドグループ、韓駿鎧・陳立宗(→TPBL)
・新竹御頂ライオニアーズ:悍創スポーツマーケティング、陳美玲・張運智(→TPBL)
・高雄スティーラーズ:香港インフィニーキャピタル、銭涛(PLG)
T1(5球団→TPBLへ4球団、PLGへ1球団)
・新北中信DEA:中信信託金融グループ、顔文隆・辜仲諒、7897億台湾ドル(→TPBL)
・台北台新マース:台新金融グループ、呉東亮、2489億台湾ドル(→TPBL)
・台南台鋼ゴーストホークス:台鋼グループ、謝裕民、938億台湾ドル(→PLG)
・桃園台啤永豊レオパーズ:雲豹エネルギー、廖福生、304億台湾ドル(→TPBL)
・高雄全家アクアス:国揚実業、侯西峰、105億台湾ドル(→TPBL)

「儲かっている球団はない」

両リーグの合併交渉では誰が交渉の主導権を握るのかが問題となっていた。オーナー同士の水面下の綱引きは、4年前から始まっていたのである。

2019年に富邦ブレーブズがSBLスーパーバスケットボールリーグから脱退し、ASEANバスケットボールリーグに加入。芸能人の陳建州氏と展逸国際プロモーションの張憲銘氏などが組織した宝島ドリーマーズが2017年に加入したのに続く動きだった。その後、HTCの陳信生氏をはじめとする「シリコンバレーグループ」も追随し、2020年にPLGが誕生する。

翌2021年、辜仲諒氏は陳建州氏と会談。球団設立とともに、国揚グループのアクアスも一緒にPLGに加入することに合意する。しかしPLG側が突如、中国信託グループにリーグ加入の出資金として1500万台湾ドルを要求。その額は実に他球団の3倍だったほか、加入初期には理事のポストはないなどの条件を提示し、中信とアクアスは受け入れを拒否する。

そのような中で中信DEAと高雄全家アクアスは新たにT1リーグを創設。台湾に2つのプロバスケットボールリーグが誕生することになったのである。しかし同時に両リーグの合併話も沸き起こり、オーナー同士の水面下での動きが徐々に活発になっていった。

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