台湾の大富豪はなぜ球団経営に夢中になるのか プロバスケ球団をめぐる金持ちたちの遊戯
そして、問題が発生する。PLGの富邦ブレーブズとT1の台新マースがホームグラウンドの共用を拒否、桃園璞園パイロッツも桃園台啤永豊レオパーズとの共用を拒否したのだ。T1リーグは5球団がバラバラになることをよしとせず、共同歩調を決定する。そのような中、合併話もストップしたのである。
台湾市場は大きくないにもかかわらず、2リーグで球団数が多い。試合をよりエキサイティングにするため、他球団選手の争奪は当たり前だ。加えて中国では選手の報酬引き上げもあって、コストがどんどん高騰していた。
PLGの前会長だった張嗣漢コストコアジア地区総裁は、「どこの球団も儲かっていない。いくらかのマイナスが実態だろう」と語る。
台新マースのマネージャーで、台新銀行の尚瑞強副会長は球団の投資額が尋常でないことを語っている。
「ざっと見積もっても、少しばかり投資に熱心な球団でも1年で1億2、3000万台湾ドル。投資していない球団でも8、9000万台湾ドルはかかっているのではないか」
合併で市場はより健全に
台湾では2つのリーグに11球団が林立し、明らかに飽和状態にある。加えてプロバスケットボールは「ホームグラウンド主義」が根付いており、球団と所在地都市との結び付きが強い。
しかし現在の状況は台北平和館ではPLGの富邦ブレーブズとT1の台新マースが、桃園ドームではPLGの璞園パイロッツと台啤永豊レオパーズが共用を余儀なくされており、ファンのモチベーションや消費力の低下が起きている。
ホームグラウンドを共用しているために、毎回球場のセッティングに200万台湾ドルがかかっており、また試合スケジュールを組む時に疲労が蓄積しがちなビジター試合を連続して組む状況から球団成績低下など、ファンも不利益を被る。
そのため2リーグの合併は市場の健全化を促すと考えられ、プロバスケットボール界への進出や撤退はリーグ業界の活性化に寄与するはずだ。また、リーグは広報や試合スケジュールの調整、ホームグラウンドの振り分けなどに注力することができ、さまざまな面でいいことばかりだ。
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