──ところでNHKは、6万人デモをほんの一瞬しか放映しませんでした。
“空気”を読んでるんでしょ。あまり大きく扱わないほうがいいって、どこかの段階で誰かが判断してるんでしょう。一応報じたってことは、これは取材すべきと思った記者が取材して書いて、デスクが直して原稿にした。だけどそれを番組でどう扱うかは各編集責任者の判断ですから。
NHKの報道は公正中立か?
──現場は取材したにせよ、最終的にほとんど報じなかったというのは、放送法で課された公正中立どころか、偏向してはいませんか?
いや、偏向っていうか、明らかにおかしいでしょ。おかしいですよ、そりゃ(笑)。それがテレビに課された「事実を曲げない」の範囲内かどうかといえば、事実は一応報じてるわけだし、いい悪いではなく、事実を曲げてるという批判は難しいですよね。まあ、私はもっと大きく報道すべきだと思いますけど。
──憲法学者らを招いた衆院特別委員会の参考人質疑もNHKは中継ナシでした。
NHKには中継する基準があって、それを満たすとわかったのが当日の朝だったから間に合わなかった、って言ってる。けどそれは違うだろう、そんなわけないだろうって思いますよ。急いでやりゃいいんです。
きっとどこかで、わざわざやらなくてもいいだろうと、空気を読んだ人間がいるんじゃないかな。“忖度(そんたく)”ですよね。籾井勝人会長自ら、報道するなと言ったら大問題だし、彼は言わないですよ、わからないから。「会長はきっとこう思うであろう」と忖度するヤツがいて、下に向かって「慎重に」と放送総局長なり中間管理職が言うんでしょ。
──NHKは政権に対し見て見ぬふり、サボりジャーナリズムじゃないか、って批判もあります。
なるほどなるほど。いやそのとおりです。まあがっかりですよね。
今ニュースをネットで拾う人が増えてますが、それはどこかの新聞かテレビの報道をネットで見てる場合が多い。安保法制でも、読売や産経が報じる事実自体、正しいかどうか疑問すら起きるわけです、反対論を載せないという点で。論調は別にして、事実は客観的であるはずという信頼感がなくなってますよね。ファクト自体がメディアによって全然違っちゃってる。今自分が目にしているのは、世の中のほんの一部の断片なんだという自覚が必要ですね。
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