京大教授が説く「株式投資」シンプルかつ深い心得 株式投資とは「成長の果実を分けてもらうこと」

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長期資産運用はプラスサムであるから、株式に関する知識があまり高くないとか、時間がないといった個人にも向いている。

「将来性があり、経営も優れていて素晴らしいのでは」と思う企業の株式を買い、その後は時たま株価や業績を見る程度であっても、長い時間が経過すれば、ずっしりと重い果実を得ている可能性が高い。

これが筆者の60年にわたる株式市場との付き合いから得た結論である。

1個のずっしり重い果実を手にしてほしい

京都大学において2005年から今日まで、証券投資理論、証券市場分析などの講義やゼミに携わってきた。理論や分析結果を議論する合間、株式投資の話題も時々だが学生に話すことがある。その際に、しばしばこう説明してきた。

本当の株式投資(株式保有)とは副業の一種である。

自分の好きな仕事をしながら、もしくは趣味を楽しみながら、ついでに株式投資を楽しみ、できれば1個でも2個でも、まあ半分でもいいので、成長の果実を分けてもらうことである。

副業だから、株式に多くの時間を取られたくない。

いつも学生たちに紹介する理想の生活像として、「常夏のリゾート地で夕日を眺め、ワイングラスを傾けながら、ふと気づいたようにパソコンを広げて当日の株価と、それに関連するニュースをチェックすること」がある。

チェックするだけだから、10分もあれば十分だろう。その後は再びリゾート地での自分自身の時間を楽しめばいい。

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つまり、理想の風景と時間においては、株式を売買する必要がない。異変が生じていないことを確認すれば十分である。

世の中が平穏であり、これまでと変わったことがないと確認できれば、パソコンを閉じ、リゾート地の世界と、その時間の流れに戻る。あとは世界のどこかで、優れた企業家たちが、「株価」という果実を膨らませてくれるだろう。

新NISAやiDeCoに注目が集まり、若い人たちによる投資信託を利用した証券投資が増えている。株価の上昇が個別株(株式)投資への関心を高めている。

読者諸氏が、1個のずっしりと重い果実を、いずれ手にされることを祈念してやまない。

川北 英隆 京都大学名誉教授、京都大学成長戦略本部・証券投資研究教育部門 客員教授

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かわきた ひでたか / Hidetaka Kawakita

1950年奈良県生まれ。京都大学経済学部卒業後、1974年に日本生命保険に入社。

通商産業省(現在の経済産業省)派遣、ニッセイ基礎研究所金融研究部上席主任研究員、資金証券部長、取締役財務企画部長等を歴任。

2003年3月、日本生命保険を依願退職ののち本格的に学会に転じる。中央大学国際会計研究科特任教授、同志社大学政策学部教授、京都大学大学院経営管理研究部教授等をへて現在に至る。

この間、日本証券アナリスト協会証券アナリストジャーナル編集委員長、日本ファイナンス学会会長、日本取引所自主規制法人外部理事等を務める。

趣味は山歩き、辺境への旅行、植物の観察、証券市場の観察。

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