中国政府は「2030年までにCO2の排出量を減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指す」という国家目標を掲げている。その達成に向けて、中央政府はグリーン水素の活用に大きな期待をかけている。さらに中国各地の地方政府も、グリーン水素関連のプロジェクトを積極的に支援している。
水素エネルギーは(電気やガスなどと同様に)公共インフラとしての特性を持つため、グリーン水素の産業化は(国策によりエネルギー産業を独占する)中央企業が主な担い手になる。しかし現段階では、グリーン水素関連のプロジェクトは採算性の問題を抱えている。
例えば、シノペックが新疆ウイグル自治区のクチャ市に建設した年間生産能力2万トンのグリーン水素製造プラントは、大規模な太陽光発電所との組み合わせで生産コストを大幅に引き下げた。にもかかわらず、黒字化のメドはまったく立たないのが実情だ。
採算の壁を破れるか
グリーン水素の採算の壁を打ち破るためには、製造から貯蔵、輸送、利用に至るサプライチェーン全体で規模を拡大すると同時に、各段階のコストを(効率化により)引き下げる必要がある。今回のコンソーシアム結成の狙いは、それを実践することにほかならない。
シノペックの経済技術研究院が2023年末に発表したレポートによれば、グリーン水素のコスト競争力がグレー水素に大幅に劣る要因は、(現段階では)プラントの規模が小さく生産効率が低いことに加えて、グリーン水素の生産に適した(再生可能エネルギーが豊富な)地域と水素の需要がある(工業が集積する)地域が地理的に離れていることにある。
このミスマッチを克服するには、政府の政策的な支援とともに、水素の貯蔵段階と輸送段階のボトルネックを解決することが不可欠だ。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は8月21日
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